「水彩で金色って、どうやって作ればいいの?」
その疑問に、この記事がまるごと答えます。
市販の金絵の具がなくても大丈夫。手持ちの透明・不透明水彩だけで、“金色に見える色”をしっかり再現することは可能なんです。
本記事では、初心者さんでも試しやすい混色の黄金比から、ツヤや立体感を出す塗り方、ラメや銀を使ったひと工夫まで、実際に役立つテクニックをたっぷり詰め込みました。
「限られた画材で、どこまで金色を再現できるか?」──そんな創作心に火をつけたい方へ。
たったひとつの絵の具の配合が、作品の印象をガラリと変える瞬間を、ぜひ体感してみてください。
この記事を読んだあなたの筆から、新しい“金色”が生まれるはずです。
1. 「金色」って何色?──まずは“金らしさ”の正体を知ろう

金色という色に、なぜこんなにも心が惹かれるのでしょうか。
それは子どものころから私たちの中に刷り込まれた「特別な色」としての印象が関係しています。
金の折り紙、金メダル、金の包装紙……身近にありながら、ちょっとだけ非日常を感じさせてくれる存在。
まずはそんな“心に残る金色”のイメージからひも解いてみましょう。
金色の印象と記憶の中の“特別感”
「金色」と聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?
金メダル、金の指輪、折り紙のキラキラした紙──子どものころ、たった一枚の金色折り紙を巡って取り合いになった記憶がある人も多いはず。それくらい、金色には「特別感」や「価値あるもの」のイメージが詰まっています。
そんな金色を、自分の絵に取り入れられたら、きっと作品全体の印象もガラッと変わるはず。でも、実際に「金色を描く」となると、意外と戸惑いませんか? なぜなら、水彩のパレットを開いても、そこに“金色”はたいてい存在しないから。
ここからが、ちょっとしたアーティストの腕の見せどころ。手持ちの絵の具だけで金色を“感じさせる”工夫が必要になってきます。
単なる黄色じゃない?金属らしさの正体
金色は「黄色に近い色」と思われがちですが、それだけではあのリッチな雰囲気は出ません。
なぜなら、金色の魅力は“色”だけでなく、“質感”や“光の表現”と密接に関係しているからです。
たとえば、金属の表面には必ずと言っていいほど「ツヤ」がありますよね。そして、角度によって微妙に変わる色合い、光の反射…。これらが“金っぽさ”を感じさせているのです。
つまり、黄色い絵の具を塗るだけでは「金」にはならない。
金色は「色×質感」でできている」という視点が重要なんです。
金色は「色」+「質感」でできている
じゃあ、具体的にはどう表現していけばいいのか?
キラキラした絵の具がなくても、「金っぽく見える」色の組み合わせや、「ツヤっぽく見える」塗り方を工夫すれば、かなり近い雰囲気が出せるようになります。
ポイントは大きく3つ。
- 金属っぽく見える色合い(配色)
- 明暗・コントラストの工夫
- 仕上げの一工夫(ラメや白、銀など)
これらを意識することで、「あれ?これ、金っぽいかも!」と感じる色を作れるようになります。次の章からは、その具体的な作り方を紹介していきますね。
2. 基本の混色3パターンで、金色っぽい色をつくってみよう

水彩で「金色」を目指すとき、最初に頼りになるのが“混色の力”。
ここでは、初心者さんでも挑戦しやすい基本の3パターンを紹介します。どれも特別な絵の具を用意しなくても、手持ちの色で試せるものばかり。少しずつニュアンスの違う金色が作れるので、自分の好みに合わせて選んでくださいね。
黄土色ベース:やわらかナチュラルな金色
まずおすすめしたいのが、黄土色(オーカー)をベースにした柔らかめの金色です。
■ 混色比率の目安
- 黄土色:2
- 黄色:1
- 白:1
この配色は、とにかく「安定感」が抜群。黄色の鮮やかさを少し抑えつつ、白で明るさを調整しているので、優しくナチュラルな印象に仕上がります。アニメの背景や絵本風イラスト、小物の装飾にぴったり。
💡 黄土色がないときは、茶色+黄色で近い色味を自作してもOK!
黄色×茶色:シンプル&手軽なアンティーク風
次にご紹介するのは、もっと手軽に試せる「黄色+茶色」だけの配色。
この組み合わせでも、十分「金色っぽい」雰囲気が出せるんです。
■ 調整のコツ
- 明るくしたいとき:黄色多め
- 渋めにしたいとき:茶色多め
- ツヤ感が欲しいとき:白をほんの少しだけ
この配色は“アンティークゴールド”のような落ち着いた印象が得られます。人物画のアクセサリーや、背景の装飾にもなじみやすい万能型。
🎨 白を入れすぎると「くすみ」すぎるので、ほんのちょっとがポイント!
黄色×銀:ちょっぴりメタリックな質感も再現
もし手元に銀色の絵の具があるなら、黄色×銀色の組み合わせも見逃せません!
■ 混色比率の目安
- 黄色:2
- 銀色:1
- オプション:赤みのある黄色(少しだけ)
この組み合わせは、金属感がぐっと増して見えるのが特徴。銀絵の具の“粒子感”や“光沢”が、金色っぽさに一役買ってくれます。
仕上げにほんの少し赤みを足すと、さらに深みのある金色になり、温かみ+重厚感が加わります。
✨ 銀色はメタリック調に仕上げる裏ワザとして、最もお手軽。持ってるなら試して損なし!
3. 明るい?重厚?目的別「金風カラー」の作り分け

一口に「金色」といっても、使いたいシーンや作品の雰囲気によって、求められる色の印象は変わります。
たとえば、明るく輝く王冠のような金と、時を経たアンティーク調の金では、まったく違う表現が必要です。
ここでは、明るめ系・渋め系、それぞれの金色の作り方と使いどころをご紹介します。
キラキラ明るい金色:元気なシーンや人物向け
「光が当たっている」「活発な印象を出したい」「子ども向けの絵本風」など、明るい雰囲気を演出したいときにおすすめなのがこの配色です。
■ 混色比率の目安
- 黄色:4
- オレンジ:2
- 白:1(お好みで)
黄色をメインに、オレンジで温かみをプラス。さらに白を少し加えることで、光を反射しているような明るさを表現できます。
🌞 ハイライトや光の当たる部分に使うと、元気で活き活きした印象に!
■ 使いどころ
- キャラクターの装飾(髪飾り・装具など)
- 太陽光を感じさせるシーン
- ポップな世界観のイラスト全般
深みのある落ち着き系:アンティーク小物・背景にも
反対に、「重厚感を出したい」「歴史を感じる装飾品を描きたい」というときは、渋めの金色が活躍します。
■ 混色比率の目安
- 黄土色:2
- 茶色:1
- グレー:1
この配色は、少しくすんだ落ち着きのある金色を作ります。どこかノスタルジックで、高級感を感じさせるトーンです。
🕰 アンティーク家具や古道具、重みのある背景表現にぴったり!
■ 使いどころ
- 時計やアクセサリーなどの装飾品
- 建物や額縁など、背景のディテール
- ヴィンテージ風のアートやカード作品
シーン別おすすめの配色比率まとめ
表現したい雰囲気 | 配色例 |
---|---|
明るく元気な金色 | 黄色4:オレンジ2:白1 |
渋く深みのある金色 | 黄土色2:茶色1:グレー1 |
優しいナチュラル系の金 | 黄土色2:黄色1:白1 |
ツヤ感重視のメタリック風 | 黄色2:銀色1(+赤み少し) |
これらの配色をベースに、自分なりの微調整を加えていくと、どんどん“金色のバリエーション”が広がっていきますよ!
4. “ツヤ”や“反射”を感じさせる塗り方のコツ

色の配合が決まっても、「なんだか平面的…」「金属っぽさが足りない」と感じること、ありませんか?
そんなときは、“塗り方”がポイント。金属のツヤや輝きは、色だけではなく明暗・光の表現で生まれます。
ここでは、金色を立体的に見せるための塗り方の工夫を紹介します。
光と影を意識した色づけで立体感を出す
金属はツルっとしている分、光の当たる部分がはっきり明るく、影になる部分がぐっと暗く見えるのが特徴です。
- 光が当たる部分:黄色+白(または白単体)でハイライト
- 影になる部分:グレー、青みがかった茶色、うすい青 などで影を演出
たとえば、金の指輪を描くとき、内側や下側にほんのりグレーを入れるだけで、一気に“立体感”が出ます。
重要なのは、陰影の境目をはっきりさせること。曖昧にぼかしすぎると、金属っぽさが消えてしまいます。
🎨 特に初心者は、思い切って影を「暗め」にするくらいがちょうどいい!
コントラストの工夫で金属っぽさを演出
「明るい部分」と「暗い部分」のコントラストを強くすることで、金属特有のツヤを再現できます。
中途半端なトーンで塗るより、一部を思い切って“白寄り”に、別の部分を“濃い影色”にすることで、グッとリアルな見た目に近づきます。
- 白い光点(点描的に小さく)を入れる
- 輪郭線を“影側だけ濃くする”ことで立体感を補強
特に、銀+黄色などのメタリック系を使ったときは、このコントラスト演出が効果大。
✨ 小さな“ハイライトの点”を入れるだけでも、急に「金属感」が出ます!
失敗しない「ハイライトとシャドウ」の描き分け方
初めて立体感をつけるときは、どこに光が当たっているのかを意識するのが難しいですよね。
そんなときは、実際の金属製品(アクセサリーや文房具など)を観察してみましょう。
- 太陽光の下に置いてみる
- スマホで撮影して、明暗を確認する
- ハイライトの“位置”と“形”をスケッチに転写する
また、ハイライトと影のバランスは「3:1」くらいにしておくと、やりすぎ感が出にくいです。
最初は「ちょっと派手すぎかな…?」と感じるくらいでOK!
📸 スマホの“モノクロ加工”で写真をチェックすると、明暗の位置がよくわかる!
「塗り方でここまで変わるのか!」と実感できると、金色表現が一気に楽しくなりますよ。
次章では、ラメや身近なアイテムを使って、さらにキラッと魅せる裏技を紹介します!
5. ラメ・銀・白──身近なアイテムで“映える金色”を足してみる

「水彩だけで金色を作るのって、やっぱり難しい…」
そんなときの救世主が、“ちょい足しアイテム”たち。絵の具の混色では出せない「キラッ」「パール感」を、簡単にプラスしてくれます。
ここでは、絵の具以外で手軽に使える“金色っぽく魅せる素材”と、その使い方をご紹介!
ネイル用ラメ・アイシャドウを水彩に応用!
まず試してほしいのが、コスメコーナーで手に入るラメ素材。
特にネイル用のラメパウダーや、アイシャドウのラメ系カラーは、粒子が細かくて水彩にもなじみやすいんです。
■ おすすめの使い方
- 絵の具が乾いた後、ラメを指や筆で“ちょんちょん”とのせる
- 水で少し溶いてから、筆で薄く重ね塗りする
- アイシャドウの粉は、少量だけ削って混ぜると自然なきらめきに
✨ ラメを塗りすぎるとチープに見えることもあるので、「控えめ」がポイント!
偏光ラメって?自然に仕上がる乗せ方テク
特におすすめしたいのが、「偏光ラメ」。
見る角度によって色が変わるこのタイプは、金属の光沢に近い印象が出しやすいんです。
ダイソーやキャンドゥなど100円ショップにも種類豊富に揃っていて、ちょっと試すにはぴったり。
■ ナチュラルに仕上げるコツ
- ごく少量を指先でトントンと乗せる
- “ハイライト部分”だけに絞って使う
- ベースが乾いた後にラメだけを乗せることで、剥がれにくくなる
実際に筆者が偏光ラメを試したときは、光を受けたときだけキラッと見える自然なツヤ感が出せて、かなり満足度高めでした!
絵の具じゃ足りない時に役立つ素材たち
ラメ以外にも、ちょっとしたアイテムで金属感を演出できることがあります。
■ こんなものも使える!
- 白ペン・ゲルインク:ハイライトの最終仕上げに
- 銀のボールペンやホイル紙:コラージュ的に取り入れる
- メタリックマニキュア:紙に定着しやすく、少量で効果大
大事なのは、“必要なところだけに使う”こと。
すべてをキラキラさせるのではなく、「ここが光ってると金っぽい!」と感じる箇所に絞るのが成功のカギです。
絵の具の混色だけでは届かない「光の魔法」を、ちょっとした工夫で手に入れてみましょう。
次章では、そんな工夫を組み合わせた実例や、配色チャートをお見せします!
6. 金色づくりに迷ったら!配色チャート&作例からヒントをもらおう

「金色って結局どう作ればいいの?」
いろんな配合を試してみても、しっくりこないと感じるときもあるはず。そんなときのために、目的別・印象別に分けた配色チャートと作例ヒント集を用意しました!
これを見ながら、自分の作品にぴったりの“金っぽい色”を探してみてくださいね。
雰囲気別・用途別のカラーレシピ一覧
表現したい金色の雰囲気 | 混色例(比率目安) | 向いている作品やモチーフ |
---|---|---|
明るく元気なキラキラ系 | 黄色4:オレンジ2:白1 | 人物イラスト、小物、陽光表現 |
落ち着いたアンティーク系 | 黄土色2:茶色1:グレー1 | 古道具、背景、装飾品 |
優しいナチュラル系 | 黄土色2:黄色1:白1 | 絵本風イラスト、花、自然物 |
メタリックなリアル金属風 | 黄色2:銀色1(+赤み少し) | 機械、ファンタジー武器、装飾品 |
重厚で影のあるゴールド | 黄土色+茶+青みグレー(調整式) | 雰囲気のある一枚絵、影の演出 |
明るめ〜渋めまで一覧で比較
金色は、“明度”と“彩度”の微調整で印象がガラッと変わります。以下のようにイメージしておくと配色がスムーズになります。
- 明るい金色:黄色・白・オレンジの組み合わせで軽やかに
- 渋い金色:茶・黄土・グレーで深みをプラス
- 中間系:黄色+茶をベースに白かグレーでバランス調整
絵の主役になる部分には「明るめ」、背景や装飾には「渋め」など、使い分けると作品全体にメリハリが出ます。
実際の作例とその配色ポイント解説
🌟 例1:日差しを浴びた宝石箱の縁取り
- 配色:黄色+オレンジ+白
- ポイント:ハイライトに白ペンを使い、光を感じさせる配置に
🕰 例2:古びた時計のフレーム
- 配色:黄土色+茶色+グレー
- ポイント:影部分に青グレーをうっすら加えて重厚感を強調
🖋 例3:装飾的なタイトル文字(クラフトカード)
- 配色:黄色+銀色+ほんのり赤
- ポイント:筆で塗ったあとに、指で偏光ラメをトントン乗せ
自分だけの“金色レシピ帳”を作ってみよう
いろんな配色を試すうちに、「これは好き」「これはちょっと違う」という感覚が出てくると思います。
そんなときは、スウォッチカードやノートに配色と印象を書き留めておくと◎!
- 混ぜた色と比率
- 使ったラメ素材や重ね塗り
- 仕上がりの印象や用途のメモ
📘 簡単に「自分だけの金色レシピ帳」ができあがって、創作のたびに役立ちます!
金色は、正解がひとつじゃないからこそ、奥が深くて面白い。
画材に縛られず、自分の表現したい“金色っぽさ”を楽しみながら探してみてくださいね。
記事全体の総括

金色は、ただの「黄色」ではありません。そこには光の当たり方、ツヤ、深み、そして私たちが抱く“特別な感情”が重なり合って生まれる独自の色味があります。
この記事では、手元の水彩絵の具だけでその“金色らしさ”を表現するための基本の混色レシピから、目的別の色の作り分け、さらにツヤ感を足す塗り方やラメの裏技まで、実践的なテクニックを段階的にご紹介しました。
金色は難しそうに見えても、実は工夫次第で無限の表現が可能な色です。
「この色、思ったより金色っぽいかも?」という小さな発見が、あなたの絵に自信と楽しさをもたらしてくれるはず。
絵の具に正解はありません。だからこそ、自分の目と感覚を信じて、自由に試してほしいのです。
どうか今日から、あなた自身の“金色の世界”を描き始めてください。
一筆一筆に、あなたらしい輝きをのせて。
ご希望があれば、ここに合わせた締めのキャッチコピー風の一文などもお作りできます!