十三夜(じゅうさんや)とは、旧暦9月13日の夜に月を眺める、日本に古くから伝わるお月見の風習です。
旧暦8月15日の十五夜から約1か月後に迎えることから、十五夜に続いて、もう一度秋の月を楽しむ行事として親しまれてきました。
十五夜に比べると、十三夜は少し知名度が低いかもしれません。
けれども、十三夜にも「後の月」「栗名月」「豆名月」など、季節や暮らしと結びついた美しい呼び名があります。
こうした呼び名を知ると、昔の人が月そのものだけではなく、秋の実りや空気の変化まで一緒に楽しんでいたことが伝わってきます。
十三夜は、特別な行事を大がかりに用意しなくても楽しめます。
十五夜から約1か月後にもう一度夜空を見上げるだけでも、秋が深まっていることを感じられるでしょう。
【図1:十五夜→十三夜までの約1か月の流れがひと目で分かる季節図】

十三夜は満月ではない
「十三夜」という名前を聞くと、満月を眺める日だと思う人もいるかもしれません。
ただ、十三夜の月は必ずしも満月ではありません。
旧暦13日の月なので、満月になる少し前の、わずかに欠けた月を眺めることになります。
2026年の十三夜は10月23日(金)です。
そのため、まん丸の満月というよりも、少しだけ欠けた月を楽しむことになります。
現代では「お月見=満月」というイメージが強いですが、昔の人は満月だけを特別視していたわけではありません。
少し欠けた月にも趣を感じ、その姿を愛でてきました。
完璧な丸ではない月を楽しむという感覚も、十三夜のおもしろさのひとつです。
十五夜とはまた違う表情の月を眺められるので、両方見比べてみるのもおすすめです。
【図2:満月と十三夜の月を並べた、月の形の違いが分かるイラスト】

十三夜が「後の月」と呼ばれる理由
十三夜には、「後の月(のちのつき)」という別名があります。
これは、旧暦8月15日の十五夜を楽しんだあと、約1か月後の旧暦9月13日に再び月を眺めることに由来しています。
十五夜と十三夜を続けて楽しむことから、この2つを合わせて「二夜の月」と呼ぶこともあります。
秋のはじめに十五夜を眺め、その約1か月後、秋が深まったころに十三夜を楽しむ。
今の感覚で考えると、月を見る行事が1か月おきに2回あるのは少し珍しく感じるかもしれません。
けれども、昔は今よりも月や星、季節の移り変わりが暮らしに近い存在でした。
月を眺めることが、そのまま季節を感じることにもつながっていたのでしょう。
十五夜のころと十三夜のころでは、夜の空気も少し違います。
十五夜ではまだ秋の入り口を感じる日もありますが、十三夜のころになると、夜はぐっと冷え込みやすくなります。
虫の声や風の冷たさ、夜の長さにも変化が出てきます。
同じように月を眺める行事でも、時期が違うだけで雰囲気が変わるところが面白いですね。
十三夜は「栗名月」「豆名月」とも呼ばれる
十三夜には、「後の月」のほかにも、
- 栗名月
- 豆名月
という呼び名があります。
十三夜のころは、栗や豆などが収穫される時期と重なります。
そのため、収穫した栗や豆を月に供えたことから、「栗名月」「豆名月」と呼ばれるようになったとされています。
一方、十五夜は里芋などの収穫時期と重なることから、「芋名月」と呼ばれることがあります。
十五夜は芋名月。
十三夜は栗名月、豆名月。
こうして並べてみると、お月見がその時期の農作物と深く関わっていたことが分かります。
昔のお月見は、美しい月を眺めるだけの行事ではありませんでした。
その年に収穫できた作物を供え、秋の実りに感謝する意味も込められていました。
今は農作物を自分で育てていない家庭も多いですが、栗ごはんや豆料理、秋の果物を食卓に並べるだけでも、季節を楽しむきっかけになります。
「昔と同じ形にしなければ」と難しく考えなくても、その季節ならではのものを味わうだけで、十三夜らしさを感じられます。
【図3:十五夜=芋名月、十三夜=栗名月・豆名月を食べ物と一緒に見せる図解】

十五夜と十三夜の違い
十五夜と十三夜は、どちらも秋の月を楽しむお月見ですが、時期や呼び名などに違いがあります。
【図4:十五夜と十三夜の違いを比較する図解】

| 項目 | 十五夜 | 十三夜 |
|---|---|---|
| 旧暦の日付 | 8月15日 | 9月13日 |
| 主な呼び方 | 中秋の名月 | 後の月 |
| 別名 | 芋名月 | 栗名月・豆名月 |
| 月の形 | 満月に近い月 | 満月になる少し前の月 |
| 特徴 | 秋のお月見として広く知られている | 日本独自のお月見として伝わる |
十五夜は、中国から伝わった月を愛でる風習と結びつきながら、日本でも広く親しまれるようになったとされています。
それに対して十三夜は、日本独自のお月見として知られています。
違いを覚えるときは、
「十五夜は秋のお月見として広く知られる日」
「十三夜はその約1か月後に楽しむ日本独自のお月見」
と整理すると分かりやすいです。
また、お供えする作物の呼び名から、
十五夜=芋名月
十三夜=栗名月・豆名月
と覚える方法もあります。
名前と季節の食べ物を結びつけると、意外と覚えやすいですよ。
十五夜の意味や由来、お供え物などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
十五夜だけ見ると「片見月」になる?
昔から、十五夜を見たなら十三夜も見るとよい、という言い伝えがあります。
十五夜と十三夜のどちらか一方だけを見ることを、
「片見月(かたみづき)」
「片月見(かたつきみ)」
などと呼ぶことがあります。
地域や伝承によっては、片方だけを見るのは縁起がよくないとされたこともあるようです。
こう聞くと、
「十五夜を見たのに十三夜を見逃したらよくないの?」
と少し気になるかもしれません。
ただし、これは昔から伝わる言い伝えのひとつです。
科学的な根拠があるものではないため、縁起を気にしすぎる必要はありません。
むしろ、
「十五夜を楽しんだら、約1か月後にもう一度空を見上げてみる」
という、季節を楽しむ習慣として取り入れるくらいがちょうどよいでしょう。
天気が悪くて見られない年もありますし、忙しくてゆっくり月を眺められないこともあります。
無理をせず、見られるタイミングで楽しむのがいちばんです。
同じ場所から十五夜と十三夜の月を眺めれば、月の形だけではなく、気温や虫の声、夜空の雰囲気の違いにも気づきやすくなります。
【図5:「十五夜+十三夜=二夜の月」「どちらか一方=片見月」という関係をやさしく示す図解】

2026年の十三夜はいつ?
2026年の十三夜は、10月23日(金)です。
2026年の中秋の名月は9月25日なので、その約1か月後に十三夜を迎えます。
十五夜の日付は毎年同じではありません。
十三夜も旧暦をもとに決まるため、現在使われているカレンダーでは毎年日付が変わります。
そのため、「十三夜は毎年10月13日」ではない点には注意してください。
名前の「十三」は日付そのものではなく、旧暦9月13日を表しています。
【図6:2026年9月25日「十五夜」→10月23日「十三夜」をカレンダー風に示す図解】

2026年は10月下旬にあたるため、十五夜のころと比べて夜の空気もかなりひんやりしてきます。
ベランダや庭でゆっくりお月見をする場合は、カーディガンや薄手の上着など、羽織れるものを用意しておくと過ごしやすいでしょう。
十五夜と十三夜を両方楽しむ予定なら、それぞれの日に月の写真を撮っておくのも面白いです。
月の形だけでなく、雲の様子や空の色、周囲の景色も比べることができます。
1か月という期間は短いようで、季節は意外と大きく進んでいます。
写真を並べてみると、その違いにも気づきやすくなりますよ。
十三夜には何をお供えする?
十三夜のお月見では、十五夜と同じように、ススキや月見団子を飾るほか、季節の収穫物を供える風習があります。
特に十三夜は「栗名月」「豆名月」と呼ばれることから、
- 栗
- 豆
- 秋の果物
- 秋に収穫された野菜
などを供えると、十三夜らしい雰囲気を楽しめます。
月見団子については、十五夜には15個、十三夜には13個を供える形が紹介されることもあります。
ただし、お供えの仕方は地域や家庭によってさまざまです。
「必ず13個用意しなければならない」と考える必要はありません。
月見団子を買ってきてもよいですし、栗のお菓子を用意してもよいでしょう。
夕食に栗ごはんや豆料理を取り入れるだけでも、十分に十三夜らしさを楽しめます。
小さな子どもがいる家庭なら、
「今日は栗名月なんだよ」
と話しながら食卓を囲むだけでも、季節の行事を知るきっかけになります。
昔ながらの形をそのまま再現することも素敵ですが、今の暮らしに合った方法で無理なく取り入れることも大切です。
【図7:十三夜のお供え例として、月見団子・ススキ・栗・豆・秋の果物を並べたイラスト】

十三夜の楽しみ方
十三夜だからといって、特別な準備をしなければならないわけではありません。
夜空を見上げて月を眺めるだけでも、十分にお月見を楽しめます。
たとえば、
- 窓辺から月を眺める
- ベランダや庭で温かい飲み物を楽しむ
- 月見団子を食べる
- 栗や豆を使った料理を味わう
- ススキや秋の草花を飾る
- 十五夜の写真と見比べてみる
といった過ごし方があります。
個人的には、十三夜は十五夜と比べながら楽しむと、より面白く感じられる行事です。
「十五夜のころより空気が冷たくなったな」
「虫の声が少なくなったな」
「夜が長く感じるな」
そんな小さな変化に気づけるのも、約1か月間をあけて2度のお月見を楽しむ十三夜ならではです。
月だけをじっと眺めなくても大丈夫です。
お茶を飲んだり、家族で話をしたりしながら、ときどき夜空を見上げるくらいでも十分楽しめます。
天気がよくない場合は、無理に外へ出なくてもかまいません。
十三夜にちなんだ料理を食べたり、月の呼び名について調べたりするだけでも、季節の行事として楽しめます。
お月見は「こうしなければならない」というより、季節を意識するためのきっかけとして考えると取り入れやすいですよ。
【図8:窓辺・ベランダ・月見団子・温かい飲み物など、現代の十三夜の楽しみ方をまとめたイラスト】

十三夜だけじゃない、日本や海外に伝わる月の呼び名
十三夜には、「後の月」「栗名月」「豆名月」など、さまざまな呼び名があります。
こうした名前を見ていると、月そのものだけではなく、その季節の自然や暮らしまで一緒に表現していることがわかります。
昔の人にとって、月はただ夜空に浮かぶ存在ではありませんでした。
農作業や季節の節目、行事などとも深く結びついていました。
そのため、月の呼び名を調べてみると、その土地の暮らしや季節感まで見えてくることがあります。
日本では、十五夜や十三夜のように、季節の行事と結びついた月の文化が伝わってきました。
一方、海外にも「ウルフムーン」「ストロベリームーン」「ハーベストムーン」など、その時期の自然や暮らしに由来する満月の呼び名があります。
たとえば、名前だけを見ると少し不思議に感じる「ストロベリームーン」も、その地域の季節や収穫と関係のある呼び名として伝えられています。
十三夜の「栗名月」「豆名月」と比べてみると、国や文化が違っても、月と季節を結びつけて名前を付けてきたところに共通点を感じられます。
名前の由来を知ってから月を眺めてみると、いつもの夜空も少し違って見えてくるかもしれません。
【図9:日本の「栗名月・豆名月」と海外の「ウルフムーン・ストロベリームーン」】

12か月それぞれの満月の呼び名や由来については、こちらの記事でまとめています。
十三夜まとめ
十三夜は、旧暦9月13日に行われる日本独自のお月見です。
十五夜の約1か月後に行われることから「後の月」と呼ばれ、栗や豆の収穫時期と重なることから「栗名月」「豆名月」という別名もあります。
また、十五夜と十三夜のどちらか一方だけを見ることを「片見月」「片月見」と呼ぶ言い伝えも残されています。
2026年の十三夜は10月23日(金)です。
満月そのものではありませんが、満月になる少し前の、わずかに欠けた月を楽しめるのも十三夜の魅力です。
十五夜の約1か月後にもう一度夜空を見上げてみると、月だけではなく、気温や虫の声、秋の深まりにも気づけます。
昔ながらのお供えを用意するのもよいですし、栗や豆を使った料理を楽しむだけでもかまいません。
大切なのは、月をきっかけに季節を感じてみることです。
また、「後の月」「栗名月」のように、月には昔の人の暮らしや季節感が込められた名前がたくさんあります。
十三夜をきっかけに、ほかの月の呼び名にも目を向けてみると、毎月の満月を眺める楽しみも少し広がります。
