お菓子やパン作りで「バターが足りない」「植物性油で代用したい」と思ったとき、いちばん迷うのが分量です。結論から言うと、**バターの量に対して植物性油は60〜65%**を目安にすれば、家庭用レシピの多くは問題なく仕上がります。
たとえばバター100gを使うレシピなら、植物性油は60〜65g。半量にしてしまうと油脂が不足し、逆に同量にするとベタつきやすくなります。この「60〜65%」という数字には、ちゃんと理由があります。
この記事では、
- なぜ60〜65%なのか
- レシピ別の考え方
- 太白ごま油・サラダ油の使い分け
- 失敗しないための注意点
を、初めての方にも分かるように順番に解説していきます。
バターと植物性油の違い|水分・空気・香り

まず押さえておきたいのは、バターと植物性油は同じ「油脂」という分類に入るものの、その中身や役割はまったく別物だという点です。レシピ上では同じ「油脂」として扱われがちですが、実際には含まれている成分や、生地に与える影響が大きく異なります。
この違いを理解せずに単純に同量で置き換えてしまうと、「思ったよりベタついた」「軽さが出ない」「風味が物足りない」といった失敗につながりやすくなります。逆に言えば、違いを知っておくだけで、置き換えはぐっと簡単で再現性の高いものになります。
ここでは、水分量・空気の含みやすさ・香りという3つの視点から、バターと植物性油の違いを整理していきましょう。
バターは「脂肪+水分」の混合素材
バターは約80%が脂肪で、残りの約20%は水分や乳成分で構成されています。この「水分を含んだ油脂」である点が、植物性油との大きな違いです。レシピにバターを加えるということは、油脂を足すだけでなく、同時に水分や乳由来の成分も加えているということになります。
そのため、生地全体の水分バランスやなめらかさに影響を与えやすく、焼き上がりのしっとり感や口どけにも関わってきます。また、バターは常温で柔らかくなる性質があり、混ぜる過程で空気を抱き込みやすいのも特徴です。この空気が加わることで、生地がふんわりと仕上がり、層や軽さが生まれやすくなります。
植物性油は100%油脂
一方、太白ごま油やサラダ油などの植物性油はほぼ100%が油脂で構成されています。バターのように水分や乳成分を含まないため、レシピに加えると「純粋な油分だけ」を足すことになります。
そのため、バターと同量をそのまま置き換えてしまうと、本来バターに含まれていた水分や空気の要素が抜け落ち、油分だけが過剰な状態になりがちです。結果として、生地が必要以上に重くなったり、焼き上がりがベタついたり、口当たりが油っぽく感じられる原因になります。
植物性油は扱いやすい反面、入れすぎると仕上がりにダイレクトに影響が出やすい素材でもあります。この特性を理解しておくことが、分量を60〜65%に抑える判断につながります。
この違いが「60〜65%」の理由
バターに含まれていた水分や空気の分を差し引いて考えると、植物性油は6〜6.5割程度がちょうど良いバランスになります。これは感覚的な目安ではなく、バターの構造を分解して考えた結果導き出される、非常に理にかなった数字です。
バターは油脂だけでなく、水分や乳成分、そして混ぜる工程で取り込まれる空気によって、生地に軽さやなめらかさを与えています。一方で植物性油にはそれらが含まれないため、同じ量を使うと油分だけが過剰になり、仕上がりに重さやベタつきが出やすくなります。その差を埋めるために分量を抑えると、結果として60〜65%前後が最もバランスの取れた範囲になるのです。
【計算方法】分量の求め方をレシピ別に解説

基本は「バターの60〜65%」というシンプルな考え方ですが、実際のレシピでは材料構成や仕上がりの目的によって微調整することが失敗を防ぐコツになります。すべてを一律に置き換えるのではなく、「このレシピでは油脂は何の役割をしているのか?」と一度立ち止まって考えることで、仕上がりのブレを最小限に抑えることができます。
たとえば、食感を左右するのか、しっとり感を補うためなのか、あるいは風味付けが主目的なのかによって、同じ60〜65%でも選ぶ位置は変わってきます。以下では、レシピのタイプごとにどこを意識して分量を決めればよいのかを具体的に見ていきましょう。
水分を加えないレシピ(クッキー・ビスコッティ)
卵や牛乳を使わないクッキーやビスコッティなどのレシピは、生地に含まれる水分が非常に少ないため、加える油分の量がそのまま仕上がりに反映されやすいという特徴があります。油を入れすぎると、生地がだれやすくなったり、焼き上がりが重く感じられたりと、食感に大きな影響が出てしまいます。
そのため、このタイプのレシピでは、植物性油は控えめを意識し、60%寄りで計算するのがおすすめです。油分を抑えることで、焼き上がりがサクッとしやすく、後味も軽く仕上がります。特にビスコッティのように水分を飛ばして仕上げるお菓子では、油分の入れすぎが食感を損ねやすいため、少なめを基本に考えると失敗しにくくなります。
水分を加えるレシピ(ケーキ・マフィン)
卵や牛乳が入るケーキやマフィンなどのレシピは、生地そのものに十分な水分が含まれているため、油脂の量にある程度の幅を持たせることができます。そのため、植物性油への置き換えは60〜65%の範囲で調整しやすく、比較的失敗しにくいタイプと言えるでしょう。
基本は60%を目安にしつつ、焼き上がりをよりしっとりさせたい場合や、翌日以降まで食感を保ちたい場合は65%寄りに調整しても問題ありません。ただし、油分を増やしすぎると重たさが出やすくなるため、卵や牛乳の量とのバランスを見ながら少しずつ調整するのがコツです。
生地をまとめるレシピ(スコーン・タルト)
スコーンやタルトのように、生地を「こねる」のではなくまとめて成形するタイプのレシピでは、油分の量が食感や扱いやすさに直結します。油分が多すぎると、生地がだれやすくなり、成形時に崩れたり、焼成中に広がりすぎたりする原因になります。
そのため、このタイプのレシピでは植物性油は控えめを意識し、60%前後を目安にするのがおすすめです。油分を抑えることで、生地がまとまりやすくなり、焼き上がりもサクッとした軽い食感を保ちやすくなります。特にタルト生地では、油分の入れすぎが層のだれや食感低下につながりやすいため、「少なめ」を基本に考えると失敗しにくくなります。
パンのレシピの場合
パンの場合、バターは生地を柔らかくするだけでなく、風味付けやコクを与える役割が強い素材です。そのため、植物性油に置き換える際は、単純に油脂量だけを見るのではなく、仕上がりの香りや食感も意識する必要があります。
基本の考え方としては、植物性油はバター量の60%を目安にしつつ、不足しがちな水分を少しずつ補う方法がおすすめです。水や牛乳をほんの少量加えることで、生地の伸びが良くなり、焼き上がりも硬くなりにくくなります。
特に食パンやロールパンのようなシンプルな配合では、油脂の入れすぎが重さにつながりやすいため、「油は控えめ+水分で調整」という考え方を意識すると失敗しにくくなります。
早見表|バター◯g→植物性油◯g一覧

家庭でよく使う分量を一覧にしました。迷ったらまずここを見てください。
- バター30g → 油18〜20g
- バター50g → 油30〜33g
- バター100g → 油60〜65g
- バター200g → 油120〜130g
基本は60%、しっとり仕上げたい場合のみ65%に寄せると考えると分かりやすいです。
仕上がりで選ぶ|60%と65%の使い分け目安

同じ「60〜65%」という範囲でも、どちらを選ぶかによって、仕上がりの印象や満足度は意外と大きく変わります。数字だけを見るとわずかな差に感じられますが、実際のお菓子やパンでは、軽さ・しっとり感・後味といった部分に違いとして現れやすくなります。
ここでは、「どちらが正解か」を決めるのではなく、完成後にどんな仕上がりをイメージしているかから逆算して分量を選ぶ考え方を整理してみましょう。そうすることで、レシピごとに迷いにくくなり、自分の好みに合った調整がしやすくなります。
さっぱり・軽めに仕上げたいときは60%
クッキーやビスコッティ、甘さ控えめのおやつなど、軽さを重視したい場合は60%がおすすめです。この分量にすることで油分が必要以上に前に出ず、素材そのものの風味や甘さが感じやすくなります。
油分が控えめになると、口に入れたときの重たさが出にくく、後味がすっきり仕上がるのも大きなメリットです。何枚も食べるクッキーや、間食として楽しむ焼き菓子では、食べ疲れしにくいことが満足度につながります。軽やかさを大切にしたいときは、まず60%を基準に考えると失敗しにくくなります。
しっとり感を重視したいときは65%
マフィンやパウンドケーキなど、時間が経ってもパサつかせたくない焼き菓子の場合は、65%寄りの分量が向いています。このタイプのお菓子は、焼き上がり直後だけでなく、翌日以降の食感もおいしさを左右するため、油分による保水性が重要になります。
植物性油の割合を65%程度にすると、生地の中に水分をとどめやすくなり、乾燥しにくい状態を保てます。その結果、口当たりがしっとりとし、切り分けたときの断面もきれいに仕上がりやすくなります。特にパウンドケーキのように日持ちさせたいお菓子では、この「しっとり感の持続」が満足度を大きく左右します。
子ども向け・やさしい味にしたい場合
子ども向けのおやつや、全体的にやさしい味わいに仕上げたい場合は、油の主張をできるだけ抑えることがポイントになります。そのため、植物性油は60%を基準にし、なおかつ香りの少ない無香タイプの油を選ぶのが安心です。
油の存在感を控えめにすることで、砂糖や小麦粉、卵など、素材そのものが持つ自然な甘みが前に出やすくなります。口当たりも軽くなり、油っぽさを感じにくいため、子どもでも食べやすい仕上がりになります。甘さや風味を強くしすぎたくないおやつには、この考え方がとても向いています。
太白ごま油・サラダ油・米油の使い分け

植物性油であれば何でも同じ、というわけではありません。実際には油の種類によって香り・コク・後味に違いがあり、それが焼き上がりのお菓子やパンの印象を左右します。特にバターの代用として使う場合は、「油の主張がどれくらいあるか」「素材の味を邪魔しないか」という視点が重要になります。
ここを意識せずに選んでしまうと、分量は合っているのに「なんとなく違和感がある」「思っていた味と違う」と感じる原因になりがちです。逆に言えば、レシピの方向性に合った油を選ぶだけで、植物性油でも満足度の高い仕上がりに近づけることができます。
太白ごま油が向いているお菓子
太白ごま油は香りがほとんどなく、クセが出にくいのが大きな特徴です。そのため、バターの風味を前面に出したくない場合や、素材本来の味を活かしたいお菓子作りに向いています。ケーキ・クッキー・パン全般に使いやすく、レシピを選ばない万能油として扱いやすい存在です。
特に、スポンジケーキやマフィンなどの焼き菓子では、生地の風味を邪魔せず、軽さやしっとり感だけを自然に補ってくれます。また、パン生地に使っても香りが立ちにくいため、食事系・甘い系のどちらにも応用しやすい点が魅力です。
サラダ油でも代用できる?
サラダ油でもバターの代用として使うことは可能ですが、いくつか注意しておきたいポイントがあります。サラダ油は製品によって原料や精製度が異なるため、種類によってはごくわずかな油臭さを感じることがあります。
そのため、香りが仕上がりに影響しやすい焼き菓子よりも、チョコレートやスパイスを使ったもの、総菜パンなど、味付けが比較的はっきりしたレシピのほうが向いています。使用する際は、できるだけクセの少ないタイプを選び、最初は少量から試してみると安心です。
風味を邪魔しない油の選び方
バターの代用として植物性油を使う場合は、油そのものの香りやクセがどれくらいあるかを意識することが大切です。基本的には、パッケージに「無香」「精製」「クセがない」と表記されている油を選ぶと、レシピ本来の風味を邪魔しにくくなります。
こうした油は主張が控えめな分、砂糖や小麦粉、卵などの素材の味を引き立てやすく、仕上がりに違和感が出にくいのが特徴です。特に焼き菓子やパンでは、わずかな香りの違いが全体の印象を左右することもあるため、迷ったときは「できるだけ香りが立たない油」を基準に選ぶと失敗しにくくなります。
よくある疑問Q&A|置き換え前に知っておきたいこと

バターを植物性油に置き換える作業はシンプルに見えて、実際にやってみると「本当にこれで合っているのかな?」「仕上がりがおかしくならないかな?」と不安になる方も多いはずです。特に、何度も作っているお気に入りのレシピほど、配合を変えることに抵抗を感じやすいものです。
そこでこの章では、置き換えに慣れていない方がつまずきやすいポイントや、事前に知っておくと安心できる疑問をQ&A形式で整理しました。作り始める前の不安を解消しながら、落ち着いて判断できるようにしていきましょう。
バターと同量入れてしまったらどうなる?
バターと同量の植物性油を入れてしまうと、油分が過剰になり、生地が重くベタつきやすくなります。本来バターに含まれていた水分や空気の要素がなく、純粋な油分だけが増えるため、焼成中に油が分離したような状態になりやすいのも特徴です。
その結果、焼き上がりが油っぽく感じられたり、口当たりが重くなったりして、「思っていた仕上がりと違う」と感じやすくなります。こうした失敗を防ぐためにも、次回からはバター量の60%を基準に計算することを意識すると安心です。
オリーブオイルは使える?
オリーブオイルもバターの代用として使用すること自体は可能ですが、他の植物性油に比べて香りが出やすい点には注意が必要です。特にエクストラバージンオリーブオイルは風味が強く、焼き菓子に使うと「オリーブの香り」が前に出てしまうことがあります。
そのため、お菓子作りに使う場合は、クセの少ないタイプを選ぶか、軽めのレシピで少量から試すのがおすすめです。マフィンやケーキなどよりも、甘さ控えめの焼き菓子や、風味に多少個性があっても違和感の出にくい配合のほうが向いています。まずは少量で仕上がりを確認し、自分の好みに合うかどうかを見極めると安心です。
無塩・有塩バターで考え方は変わる?
分量計算の基本的な考え方は、無塩バターでも有塩バターでも同じです。バターに含まれる脂肪や水分量自体は大きく変わらないため、植物性油への置き換え比率を変える必要はありません。
ただし、有塩バターを使っていたレシピの場合は、塩分の扱いに注意することが大切です。植物性油には塩分が含まれていないため、そのまま置き換えると味がぼやけてしまうことがあります。レシピ全体を見ながら、塩を少量加えて調整すると、味が安定しやすくなります。特に焼き菓子やパンでは、わずかな塩加減が風味のまとまりに影響するため、この点を意識しておくと仕上がりに差が出にくくなります。
ヴィーガン対応レシピでも同じ?
基本の考え方は同じですが、ヴィーガン対応レシピでは卵や乳製品を使わない分、水分量や乳化の工夫がより重要になります。卵が担っていた「つなぎ」や「空気を含ませる役割」がなくなるため、そのまま置き換えると生地がまとまりにくく感じることがあります。
その場合は、水分を少し増やしたり、豆乳や植物性ミルクを加えたりすることで、生地のなめらかさを補うと扱いやすくなります。また、しっかり混ぜて油と水分をなじませることで、焼き上がりの食感も安定しやすくなります。
植物性油でバターらしさを出す工夫

植物性油を使うと、どうしても「バターのコクや軽さが足りないのでは?」と感じてしまいがちですが、実はいくつかのポイントを意識するだけで、その差はかなりカバーすることができます。バターには乳由来の風味や空気を抱き込む性質がありますが、それらは材料の扱い方や工程を少し工夫することで、家庭のお菓子作りでも十分に補うことが可能です。
ここでは、植物性油を使いながらも、できるだけバターに近い満足感を出すための考え方と工夫を紹介していきます。
卵で空気を含ませる理由
卵をしっかり泡立てることで、生地の中に細かな空気が入り、焼成後にふんわりとした軽さが生まれます。これは、バターを使ったレシピで得られる「軽やかさ」や「口どけの良さ」を補ううえで、とても重要なポイントです。
特に植物性油を使う場合は、油自体が空気を抱き込まないため、卵の泡立て具合が仕上がりを左右します。卵白や全卵を丁寧に混ぜることで、生地全体に空気が均一に行き渡り、重くなりがちな油脂の印象を和らげることができます。その結果、バターを使ったような軽さや、食べやすい食感に近づけることができるのです。
バター風味を補う方法
植物性油に置き換えると、どうしてもバター特有の香りやコクが控えめになるため、風味を補う工夫を取り入れると満足度が高まります。代表的なのが、市販のバター風味エッセンスやフレーバーオイルを少量加える方法です。ほんの数滴でも、香りの印象が大きく変わり、「物足りなさ」を感じにくくなります。
また、少量のヨーグルトや生クリームなどの発酵乳製品を加えるのも有効です。乳由来のコクや酸味が加わることで、味に奥行きが出て、バターを使ったときに近い満足感を得やすくなります。ただし入れすぎると食感に影響するため、あくまで控えめに足すことを意識すると、バランスよく仕上がります。
保存方法で食感が変わる理由
植物性油を使ったお菓子は、冷蔵庫で冷やすと生地が締まりやすい傾向があります。これは、植物性油が低温で固まりやすく、常温とは違った質感になりやすいためです。その結果、焼き上がり直後はちょうどよかった食感でも、冷やしたあとに「少し硬くなった」と感じることがあります。
一方で、適切な保存方法を選べば、この性質をメリットとして活かすことも可能です。冷蔵保存で形が安定したり、切り分けやすくなったりする場合もあります。どこで、どのように保存するかによって食感の印象は変わるため、保存方法も仕上がりの一部と考えて調整すると、より満足度の高い状態を保ちやすくなります。
置き換えに向かないレシピ・注意点

植物性油はとても便利な代用品ですが、すべてのレシピが問題なく置き換えられるわけではありません。バターが果たしている役割が「単なる油脂」以上の場合、植物性油に替えることで仕上がりの質が大きく変わってしまうことがあります。
特に、風味・層・口どけといった要素が重要なレシピでは、分量計算が合っていても「思っていたお菓子と違う」と感じやすくなります。この章では、無理に置き換えないほうがよいケースや、注意して判断したいポイントを整理しておきましょう。
バターが主役の焼き菓子
折り込みパイやバタークリームなど、バターそのものの風味や香り、層の美しさが仕上がりを左右するレシピには、植物性油での置き換えは不向きです。これらのお菓子では、バターが持つ独特のコクや乳由来の風味、温度変化によって生まれる層構造が味と食感の中心になっています。
植物性油に替えてしまうと、分量を調整しても本来の軽やかな層やリッチな口どけを再現することが難しく、「別のお菓子になった」と感じやすくなります。そのため、こうしたレシピでは無理に置き換えず、バターを使う前提で考えたほうが満足度の高い仕上がりにつながります。
食感が変わりやすいケース
サクサク感を重視するレシピでは、使用する油の種類や量によって仕上がりに大きな差が出やすくなります。特にクッキーやパイ生地などは、油脂の性質がそのまま食感に反映されやすく、わずかな配合の違いでも「軽さ」や「歯切れ」に影響が出ることがあります。
植物性油はバターと比べて水分を含まないため、量が多すぎると生地が締まりにくくなり、サクサクというよりも油っぽく感じてしまう場合があります。そのため、こうしたレシピでは分量を控えめにし、油の種類もできるだけクセの少ないものを選ぶことが、理想の食感に近づけるポイントになります。
失敗しやすいポイントまとめ
- 同量置き換えしない
- 油の種類を選ぶ
- 水分量を意識する
まとめ|迷ったらこの3ステップで考える

バターを植物性油に置き換えるときは、細かい数字や難しい理屈をすべて覚える必要はありません。大切なのは、基本となる考え方を一つの流れとして理解しておくことです。そうすれば、レシピが違っても、その場で落ち着いて判断できるようになります。
基本の流れは、次の3ステップです。
- 分量はまず60%で計算する
- レシピ全体の水分量を確認する
- 足りない風味や軽さは工夫で補う
最初に分量を60%で計算することで、油分の入れすぎによる失敗を防げます。そのうえで、卵や牛乳など他の材料に含まれる水分を確認し、必要であれば微調整を行います。最後に、風味やコクが物足りないと感じた場合は、卵の扱い方や香り付けなどの工夫を加えることで、満足度の高い仕上がりに近づけることができます。
この3ステップを頭に入れておけば、「バターがない」「急きょ油で代用したい」という場面でも慌てる必要はありません。置き換えは特別なテクニックではなく、考え方さえ押さえれば誰でも再現できる調整作業だと分かるはずです。
