まるで錦の織物のように美しいことからその名がついた「ニシキゴロモ(錦衣)」。
森の中で木漏れ日を浴びて、静かに葉を広げる姿は、まさに自然が生み出した芸術品です。その美しさは、古くから人々を魅了してきました。
しかし、ニシキゴロモの魅力は、その美しさだけではありません。
初夏に咲かせる小さな花は、可憐でありながら力強く、生命の輝きを感じさせてくれます。
また、環境によって葉の色合いが変化するのも、ニシキゴロモの大きな特徴の一つ。
緑、紫、そして銀色…と、様々な表情を見せてくれるので、観賞する楽しみが尽きません。
今回は、そんな奥深い魅力を持つニシキゴロモについて、詳しく解説していきます。
彼らの生き様を知ることで、きっとあなたの自然に対する見方も変わってくるでしょう。
基本情報
ニシキゴロモ(錦衣)
- 分類:シソ科、キランソウ属
- 別名:キンモンソウ
- キランソウ属の学名は Ajuga(アジュガ) ですが、園芸種のアジュガと云えば、セイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)のことを指します。
花の特徴
ニシキゴロモの花は、4月から6月にかけて開花します。
紫色をした唇形花で、長さは1cmほど。茎の先端に数個が集まって咲く姿は、小さくても存在感があります。
葉の特徴
ニシキゴロモの葉は、その名の通り錦のように美しい模様が特徴です。
基本は緑色ですが、紫色を帯びたりと、環境や個体によって様々なバリエーションがあります。
キランソウとよく似ていますが、葉に光沢はありません。
葉の裏も紫色です。
この色の変化は、生育環境における光合成の効率を調整するためと考えられており、自然の神秘を感じさせます。
葉っぱの鋸葉は波型で、先は尖らない。優しい感じの鋸葉です。
実の特徴
ニシキゴロモは、花後に小さな球形の実をつけます。
実は成熟すると茶色くなり、中には種子が入っています。
開花時期
4月〜6月
日本国内での分布
本州、四国、九州
好む環境
ニシキゴロモは、山地の木陰など、湿り気のある半日陰の場所を好みます。
直射日光に弱いため、木漏れ日があたる程度の場所が適しています。
花言葉が語るニシキゴロモの真実とは?
ニシキゴロモの花言葉は「変わらぬ思い」「誠実」「追憶の日々」。
これらの花言葉は、ニシキゴロモが、環境が変わってもその美しい葉色を保ち続けることに由来すると言われています。
まるで、愛する人を想い続けるけなげな心を表しているかのようですね。
七変化!?光と影が織りなすニシキゴロモの葉模様の秘密
ニシキゴロモ最大の魅力といえば、やはりその美しい葉色でしょう。
緑を基調としながらも、環境によって紫色を帯びたりと、まるで万華鏡のように変化します。
一体なぜ、このような変化が起こるのでしょうか?
それは、ニシキゴロモが光合成の効率を調整するために、葉の色素を変化させているためだと考えられています。
例えば、日当たりの良い場所では、強い日差しから葉を守るために紫色が強くなります。
逆に、日陰では光を効率よく吸収するために、緑色が濃くなる傾向があります。
このように、ニシキゴロモの葉色は、厳しい自然環境を生き抜くための戦略の一つなのです。
よく似た!キランソウの魅力にも迫る!
キランソウは、古くから薬草として利用されてきた歴史を持ち、その薬効は古今東西で高く評価されてきました。
しかし、その薬効だけでなく、可憐な花を咲かせる姿も魅力的です。
キランソウ(金瘡小草)
分類: シソ科 キランソウ属
別名: ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)
万病の薬草となる事から、地獄に蓋をすると言う意味からの、別名
キランソウの花は、直径約1cmほどの小さな花。
花色は、鮮やかな紫色が一般的ですが、まれに白色やピンク色の花も見られます。
花期は、4月から6月頃。
花は、葉腋から花茎を伸ばして、1~3個ずつ咲きます。花冠は唇形で、上唇は2裂し、下唇は3裂します。
キランソウは地表を這っていて、葉の葉脈も緑色、裏も緑色です。
葉っぱに光沢が有ります。
キランソウの花は、紫色が濃いです。
上唇が短いのが、ニシキゴロモとの違い。
キランソウとニシキゴロモの違い
キランソウとニシキゴロモは、どちらもシソ科の植物ですが、いくつかの違いがあります。
・花の形: キランソウの花は、筒状で、唇形をしています。
一方、ニシキゴロモの花は、花びらが細かく裂けて、レースのような繊細な美しさがあります。
・葉の形: キランソウの葉は、卵形で、縁がギザギザしています。
一方、ニシキゴロモの葉は、披針形で、縁は滑らかです。
・生育場所: キランソウは、日当たりの良い場所を好み、道端や石垣などに生育します。
一方、ニシキゴロモは、山野の林縁や草原などに生育します。
このように、花の形、葉の形、生育場所など、いくつかの違いがあります。
シソ科キランソウ属の仲間たち
・ツクバキンモンソウ(筑波錦紋草)
日本海側に多いニシキゴロモの変種
・ジュウニヒトエ(十二単)
茎が立ち、花が折り重なって咲く様子を宮中の女官の十二単に例えて命名された
淡い紫色です。
背丈が高いので、直ぐに発見できます。
・セイヨウジュウニヒトエ(西洋十二単)
園芸種として輸入されたものであるが野生化
北ヨーロッパ原産。観賞用に栽培されていたが、逸出して野生化
青紫色が鮮やか。
別名:アジュガ。 学名:Ajuga reptans
ニシキゴロモ、ツクバキンモンソウ、ジュウニヒトエは白色がかった淡い紫色。
まとめ:ニシキゴロモの魅力に触れてみよう!
今回は、ニシキゴロモとその仲間たちの魅力について、葉色の変化や花言葉、生育環境などを中心に詳しく解説しました。
光と影が織りなす、その繊細で美しい姿は、自然の神秘を感じずにはいられません。
ぜひ、今回の記事を参考に、ニシキゴロモの魅力を再発見してみてください。
そして、機会があれば、実際に自然の中で観察してみて下さい。
きっと、言葉では言い表せない感動を味わえるはずです。