──常用漢字じゃ測れない、日本語の奥行きと表現力
「つながる」って、漢字にするとどっちを使えばいいんだろう?
「繋がる」? それとも「継る」?
なんだかどちらもそれっぽいけど、しっくりこない。そんなふうにモヤモヤしていませんか?
一方はよく見かけるけれど画数が多くてとっつきにくい。
もう一方は見慣れないけれど、どこか意味が深そう──。
どちらの表記が「正解」なのか、自信が持てないまま使っている人も多いはずです。
このモヤモヤ、実は言葉の感覚が鋭い証拠。
そしてそれは、ただの“漢字の違い”ではなく、言葉に込められたニュアンスや立場の違いに気づき始めたサインでもあります。
この記事では、
- 「繋がる」と「継る」はどう違うのか?
- どんな場面で、どちらを使えばいいのか?
- なぜ違和感を覚えるのか?
という問いに丁寧に答えながら、あなたの言葉選びに確かな軸を届けます。
“何気なく書く”を、“意図して選ぶ”に変えてみませんか?
違和感を味方につけたとき、あなたの文章はもう一段階深く、伝わるものになります。
🪜STEP 1:よく使うのに違和感がある「つながる」問題──なんでこの字、馴染みがないの?

「つながる」という言葉、なぜか漢字にすると“モヤッと”する
私たちは毎日のように「つながる」という言葉を使います。
「人と人がつながる」「ネットがつながらない」「心がつながってる気がする」──どれもとても自然な日本語です。
でも、ふと漢字にしようとしたとき、手が止まりませんか?
「繋がる」……って、こんな字だったっけ?
画数が多くて、どこか硬くて、スマートじゃない。
「なんか違和感あるなぁ」と感じたこと、一度はあるはずです。いや、たぶん多くの人が密かにそう思っています。
しかも、パソコンやスマホで「つながる」と入力しても、最初に出てくるのは「繋がる」よりも「つながる(ひらがな)」が多い。
これって、そもそも“違和感”として脳が処理している証拠かもしれません。
「続がる」だったらしっくりくる? その直感、実は深い
この違和感を見事に言語化してくれたある方がいました。
「つながるって、むしろ“続がる”のほうがしっくりこない?」
──この一言、深くないですか?
“人との関係が続いていく”というイメージ、「何かが絶えず流れている」「切れずに保たれている」という感覚は、まさに「続く」のイメージに近い。
漢字の“意味合い”と、“使っているシーンで感じる感情”がズレてるんですよね。
じゃあ、「繋がる」は何を意味していて、「続がる」はなぜ自然に感じるのか。
この違和感、ちゃんと深掘りしてみる価値があります。
違和感の正体は、「見慣れなさ」と「教育の盲点」
まず知っておいて損はないのが、「繋」という漢字は常用漢字ではありません。
つまり、学校では教わらない。教科書や新聞にもほとんど登場しない。
文部科学省が定める常用漢字表から外れているため、公的な文章では避けられる傾向にあります。
でも、ネット上や日常会話では頻繁に「つながる」が登場する。
このギャップこそが、私たちが感じる“違和感”の正体です。
「よく使うのに、書けない」
「聞き慣れているのに、見慣れていない」
この微妙なズレが、私たちの言語感覚をかき乱すのです。
しかも、ひらがなで「つながる」と書けばOKなので、あえて漢字にしようとするとその“モヤモヤ”が露呈してしまう。
言葉って、“音”と“見た目”と“意味”のトライアングルでできている
実はこの「つながる違和感」は、日本語という言語の面白さそのものなんです。
言葉は、
- 音(聞こえ方)
- 文字(見た目)
- 意味(内容)
この3つのバランスで成立しています。
「つながる」は耳にはよく馴染む。意味もわかる。でも、漢字の見た目だけが浮いてる──
つまり“視覚的ストレス”だけが、ぽつんと残ってるんですね。
逆にいうと、「続がる」のほうがしっくり来るのは、“音×意味”の相性がいいから。
でも「続がる」という言葉自体は、実際には存在しない(「続く」が正しい)──だから脳が混乱する。
言葉ってこんなふうに、私たちの感性と論理を常に揺さぶってくる存在なんです。
🪜STEP 2:学校じゃ教えてくれない「繋」の話──常用漢字の壁と日本語の現実

「教えられなかった字」とどう付き合うか
この違和感をきっかけに、「繋」という字の背景を深掘りしてみると、もっと面白い事実が見えてきます。
この章では、「繋」がなぜ常用漢字から外れているのか?
そして、どうして「よく使うのに習ってない」という状態が生まれたのか?
日本語教育と漢字政策の裏側に、ちょっとだけ足を踏み入れてみましょう。
「繋」はなぜ学校で習わないのか?
「つながる」は日常語だけど、「繋」という漢字は習っていない──
このギャップ、ちょっと不思議に感じませんか?
理由は明確です。「繋」は常用漢字表に含まれていないから。
常用漢字表とは、文部科学省が「この範囲の漢字を教育で教えましょう、新聞や公文書で使いましょう」と定めた、いわば“公式ラインナップ”のようなもの。
この表には、教育現場・出版業界・報道機関が従っており、表に載っていない漢字は「使わない」「避ける」「ひらがなで書く」という運用がなされることが多いのです。
つまり、「繋がる」は“表現としては正しいけど、公式の場ではあまり使わない字”という扱いなんですね。
「繋」を避けて「つながる」に──漢字制限の副作用
このルールに従うと、どうなるか?
📚 学校では「つながる」をひらがなで習う
📰 新聞やテレビも「つながる」と表記する
💻 仕事の文書でも「つながる」が推奨される
……その結果、「繋」という字に出会う機会が激減します。
読めない、書けない、見慣れない。
でも、言葉としては毎日使う──
この“漢字だけが置き去りになっている状態”が、前章で感じた「なんかモヤッとする」正体の一部でもあるのです。
「教わる漢字=日本語」ではないという事実
ここで、ひとつ大事な視点を持っておきたいのが、
学校で教わる字だけが、日本語じゃない。
ということ。
実際、文学作品・エッセイ・SNSなど、自由な文脈では「繋がる」は頻繁に使われています。
作家やエッセイスト、ライターたちは、むしろ積極的に“常用外漢字”を使うことで、微妙なニュアンスや空気感を表現しているんですね。
たとえば、「心が繋がる」という表記にこめられた“視覚的な重み”や“線が絡まり合っている”ようなイメージ。
これって、ひらがなではどうしても出しにくい。
ひらがな表記は優しくて読みやすいけど、時にフラットすぎて深みに欠ける。
漢字を使うことで、言葉に輪郭が生まれ、文章に奥行きが加わる──これは、日本語を扱う上でとても重要な視点です。
なぜ「繋」は常用漢字から漏れたのか?
さて、そもそもなぜ「繋」が常用漢字に含まれなかったのでしょう?
これにはいくつかの要因が絡んでいます:
- 📉 使用頻度が「当時の基準」で低かった
- 🧑🏫 教育現場での指導のしやすさ(画数の多さや筆順の難しさ)
- 📄 新聞・メディアでの簡素な表記を求めた時代背景(戦後の表記簡略化)
つまり、「便利かどうか」よりも「教育的・運用的にやりやすいかどうか」が優先されたわけです。
結果として、現代になって「つながる」という言葉が爆発的に使われるようになっても、漢字表記のほうは追いついていない、という現象が起きているのです。
“違和感”を大事にする人が、言葉を扱う力を持てる
ここでひとつ提案したいことがあります。
それは、「違和感を持ったあなたは、言葉に敏感である」ということ。
そして、それはとても貴重なセンスだということです。
たとえば、若手ライターが原稿を書くとき。
あるいは、社会人がビジネスメールを送るとき。
または、文学好きの高校生が詩を書くとき。
「この言葉、ほんとはこう書きたいんだけど、場面に合ってるかな?」
「なんでこの字、しっくりこないんだろう?」
こういう感覚に立ち止まれる人は、必ず“言葉のセンス”を伸ばしていけます。
だから「繋がる」への違和感を感じた自分を、ちょっと褒めてあげてほしいのです。
🪜STEP 3:「継る」という言葉の存在感──日常ではレアだけど、本質はこっち?

さて、ここまでで「繋」という字の背景や常用漢字のルールを見てきました。
ですが、記事のもうひとつの主役「継る」には、まだほとんど触れていません。
この章では、この「継る」というちょっと古風な言葉にスポットを当て、
「つながる」とは異なる“引き継ぎ”のニュアンスについて深掘りしていきます。
「継る」ってなに? まず読み方から確認しよう
「継る」と書いて、どう読むか──答えは「つぐ」です。
「継ぐ」という言葉なら、誰もが聞いたことがあるはずです。
家業を継ぐ、名前を継ぐ、伝統を継ぐ──どれも“何かを受け取り、未来へつないでいく”という行為を表します。
一方で、「継る」という表記は、日常生活ではまずお目にかかりませんよね。
実はこれ、「継ぐ」の活用形や文語的な表現として古くから存在していた言葉なんです。
例えば古典文学、または格式のある文章の中で、「~を継りて…」のように用いられた形。
現代日本語の中ではやや“化石化”していますが、意味としては今も十分に通用する、日本語の奥の間にある表現といえるでしょう。
「継る」には“責任”と“物語”が宿る
「繋がる」と「継る」は、どちらも“連続性”を感じさせる言葉です。
でも、この2つの違いは明確です。
「繋がる」には、関係性・結びつき・相互作用といった“今この瞬間のつながり”のニュアンスがあります。
一方で、「継る」には、“過去から何かを受け取り、未来に繋げる”という時間軸の流れが強く含まれている。
つまり、「継る」は単なる“つながり”ではなく、
- 誰かから受け継ぐ
- それを自分が担う
- そして次へ渡す
という、ストーリー性のある受け継ぎを表す言葉なんです。
たとえば、「父の志を継る」「代々続く技術を継る」といった使い方には、単なる接続では表現できない“重さ”や“敬意”が宿っています。
「継る」はどんな場面で使えるの?
では実際、「継る」という表現を現代で使うとしたら、どんなシーンがあるでしょうか?
📜 文学・エッセイ:
文章に深みを出したいときに、「継ぐ」ではなくあえて「継る」を使うと、クラシックで重厚な印象になります。
例:「祖母の言葉を継り、私は今も台所に立つ。」
平凡な文章が、一気に叙情的になりますね。
🏢 ビジネスシーン:
正直、ビジネスメールや企画書の中ではあまり登場しません。
が、理念や歴史を語るようなシーンでは、言葉の格を上げるために使うのもアリ。
例:「創業者の想いを継り、今後も挑戦を続けてまいります。」
これは、ただの“つながり”では出せない語感です。
🎓 学びや教育の場面:
日本語の奥深さを学ぶ過程で、あえて「継る」を知っていると差がつきます。
文学好きの高校生やライター志望者には、ぜひ覚えてほしい表現です。
現代で使いづらいのはなぜか?
ひとつには、読みがわかりづらいことが挙げられます。
「つぎる?」「けいる?」「けいじる?」と読み間違える人も多く、読みやすさという点では圧倒的に「継ぐ」が優勢です。
また、現代文法では「継る」はほとんど活用しない形のため、文章に使うには少し“詩的なセンス”が求められます。
でも、だからこそ──使えたら強い。
言葉の選び方ひとつで、「あ、この人ちょっと違うな」と思わせることができる、そんな一言になるんです。
「継る」を知っていると、言葉が一段深くなる
言葉にはレイヤーがあります。
普段よく使う「表層の語彙」だけでなく、その奥には“表現の芯”とも言える、文語的・詩的な語彙が眠っています。
「継る」はその一つ。
これを知って、選べるようになるだけで、文章の世界が一段と広がる。
SNSで目を引く文章を書きたいとき、
プレゼンで印象を残したいとき、
小説や詩で「自分の世界観」を出したいとき。
そんな場面で、この言葉が力を貸してくれるかもしれません。
🪜STEP 4:「繋がる」と「継る」はどう違う?──ニュアンス・使い分け完全ガイド

次はいよいよ、両者の違いを具体的に比較していきます。
似ているようで全く違う。
でも、両方に“つながる”という感覚がある。
「繋がる」と「継る」を、実例とともに掘り下げて、言葉選びのセンスを磨いていきましょう!
どちらも“つながり”を示す。でも、意味の軸が違う
「繋がる」と「継る」──どちらも“つながり”を感じさせる言葉。
でも、使いどころや含まれるニュアンスは、はっきりと違います。
ざっくり言えば、
用語 | 意味の方向性 | ニュアンス | 主な用途 |
---|---|---|---|
繋がる | 関係が結ばれる、つながっている | 状態・関係性 | 人間関係・物理的接続・感情の共有 |
継る | 何かを引き継ぎ、継続させる | 継承・責任感 | 伝統・家業・想いなどの継続 |
つまり、「繋がる」は今をつなぐ言葉、「継る」は過去から未来へとつなげる言葉なんですね。
例文で見る、ニュアンスの差
実際に例文で見比べてみましょう。
どちらの言葉が“ぴったり”か、感覚で掴んでください。
✅ 繋がるの例:
- 「インターネットが繋がらない」
→ 通信という物理的な接続を意味する。 - 「彼とは今でも繋がっている気がする」
→ 心のつながり、関係性の継続。 - 「SNSで多くの人と繋がることができた」
→ 交流やネットワーク形成を表す。
✅ 継るの例:
- 「父の仕事を継ることにした」
→ 役割や責任の継承がテーマ。 - 「この伝統行事を継りて守る」
→ 歴史や文化を引き継ぐ意志が感じられる。 - 「恩師の教えを継るように努力している」
→ 知識や精神を未来につなぐ行動。
こうしてみると、「繋がる」は関係性に焦点があり、「継る」は物語性や意志のある継続がポイントになってきます。
「継がる」じゃダメなの?と感じた人へ
前章でも話題に出た「続がる」の感覚に近いかもしれませんが、ここで気になるのが「継がる」って表現。
実は、「継がる」という形は文法的にはやや不自然です。
動詞「継ぐ」は他動詞(何かを継ぐ)なので、自動詞的に使う「継がる」は通常の文法から外れる使い方。
そのため、日常表現として定着していないんですね。
一方、「繋がる」は自動詞(自然につながる)として成立しているため、「〜が繋がる」という言い方がスムーズに受け入れられています。
つまり、
- 繋がる → 関係性が自然につながる(自動詞)
- 継る → 何かを引き継ぐ(他動詞的/文語)
このような使い分けが、言葉の機能としてあるんです。
混同しやすい類義語との比較
ここで、さらに「繋がる」「継る」に近い表現とその違いも見ておきましょう。
この視点を持っておくと、ライターや社会人としての表現力がグッと広がります。
🧵 「結ぶ」
物理的・抽象的な“結びつき”を意味する。
→「契約を結ぶ」「縁を結ぶ」など、関係の成立を強調。
🏔 「連なる」
物や人が並んで続く様子。景色や集団に使われることが多い。
→「山々が連なる」「屋台が連なる」など。
🔌 「接続する」
デジタル・物理系の技術的なつながり。
→「Wi-Fiに接続する」「機器を接続する」など、操作性が中心。
あなたの文章で、どちらを使う?
最後に、「繋がる」と「継る」のどちらを使うべきか──これは、何を表現したいかによって決まります。
💡感情や関係の流れを語るなら「繋がる」
→「私たちは考えが繋がっていた」など、今この瞬間の共感や広がりにぴったり。
💡物語性や責任を含む継承を語るなら「継る」
→「その志を継り、新たな一歩を踏み出した」など、過去から受け継ぐ意志を感じさせる。
言葉を“どっちでもいい”で済ませないで、“どっちがより適しているか”を選ぶ姿勢が、
言葉を扱う人としての厚みを生みます。
🪜STEP 5:文学・ビジネス・SNS、それぞれでどっちを使う?──場面別・表現術

次は、「繋がる」「継る」がそれぞれの場面でどう響くのかを掘り下げていきます。
小説で使うとどうなる?
メールで使っていいの?
SNSでバズるにはどっちが刺さる?
──そんな実用的な視点から、あなたの言葉選びをサポートします。
言葉の選び方ひとつで、“伝わり方”が変わる
同じ「つながる」という言葉でも、「繋がる」と「継る」では伝わる印象がまるで違います。
この違いが最も表れるのが、使われる場面です。
どちらも“つながり”を示す言葉。
けれども、誰に・どこで・何を伝えるかによって、適切な表現は変わります。
ここでは、【文学】【ビジネス】【SNS】という3つのフィールドでの使い方を比べてみましょう。
📚文学──「継る」は深く、情緒を宿す言葉
文学の世界は、“言葉の表面”よりも“裏にある感情や背景”を大切にする場です。
だからこそ、「継る」のような文語的で重みのある言葉は大活躍します。
✴使うと映えるシーン:
- 家族の想いを継ぐ物語
- 時代を超えて語り継がれる伝承
- 師弟関係の精神的な継承
たとえば、こんな表現が可能です。
「祖母の志を継り、私は今日も畑に立つ。」
「言葉は絶えず継りて、世代を越えて息づいている。」
これが「繋がる」だったらどうでしょう?
少し軽く感じるかもしれません。
「継る」には、文章に時間軸と想いの深さを吹き込む力があります。
💼ビジネス──「繋がる」が安全、「継る」は印象勝負
一方で、ビジネスの場では「継る」の使用には注意が必要です。
特にメールや報告書のような“明快さ・即時性”が求められる場面では、見慣れない言葉は混乱を招く可能性があります。
✴基本は「繋がる」でOK:
- 「ご担当者様と繋がることができました」
- 「お客様との信頼関係を繋げてまいります」
このように「繋がる」はビジネス文脈でも十分通じるし、安心感があります。
✴「継る」を使うなら、理念やビジョンの場面で:
たとえば、会社の創業精神や歴史を語るスピーチ、パンフレットのコンセプト文など。
「創業者の意思を継り、挑戦を続けております。」
ここでは「継る」の持つ品格と重みが、会社の“芯”を表現してくれます。
ただし、多用は禁物。「読めない・意味が取りづらい」というリスクもあるので、“ここぞ”の一文に絞って使うのが賢いです。
📱SNS──軽さと共感性が命。「繋がる」が王道、でも…
SNSは速さと共感性が命の世界。
見慣れない言葉や硬い表現は、たとえ正しくても「スルー」されがちです。
✴日常ツイート・投稿なら「繋がる」で十分:
- 「久しぶりに中学の友達と繋がった!」
- 「価値観が似てる人と繋がりたい〜」
この軽さ・自然さは、まさにSNS的文体。
「継る」を使ったら、やや浮いてしまうかもしれません。
✴ただし、「継る」が効くタイミングもある:
たとえば、フォロワーとの関係にストーリー性を持たせたい時や、
自分の思想や歴史的視点をにじませたい投稿で。
「小さな活動でも、誰かが継り続けてきたから今がある。」
──この一文には、タイムラインで立ち止まらせる力がある。
その“異物感”が逆に効くのです。
【比較まとめ】シーン別・使い分けチャート
シーン | 無難なのは? | 印象を残すなら? |
---|---|---|
文学 | 継る | 継る(積極的にOK) |
ビジネス | 繋がる | 継る(理念など限定) |
SNS | 繋がる | 継る(文脈・個性に依存) |
表現の幅を広げる鍵は「文脈への感度」
結局のところ、「継る」か「繋がる」かの判断は、相手と場面によって変わるということ。
そして、その違いに敏感になれる人が、“言葉を扱える人”なのです。
- 相手にとって読みやすいか?
- この場にふさわしい重さか?
- 言葉の選び方で、どんな印象を残したいのか?
こうした問いを1秒で判断できるセンスは、書く人・話す人にとって武器になります。
🪜STEP 6:まとめ──“しっくりくる日本語”は、自分の感覚を信じるところから

ここまで読んでくれたあなたは、もう十分に言葉に敏感な人です。
最後の章では、「言葉の違和感」に気づける感覚をどう育てていくか、
そして、普段の生活にどう活かせるか──実践的なヒントをお届けします!
「この言葉、なんか違和感ある」──それ、最高の出発点です
「つながる」ってよく使う言葉なのに、漢字にすると「繋がる」は見慣れない。
それに違和感を覚えたあなたは、実はかなり言葉に敏感な人です。
なぜなら、日本語って、“気づかなくても通じる”けど、“気づくと深くなる”言語だから。
「なんでこの字じゃないといけないの?」
「この言葉のほうがしっくりくるな…」
そんな小さな引っかかりが、あなたの語彙力や表現力を育てていきます。
正しさ×感覚=あなたの日本語力
ここまで読んでくださった方はもうお分かりだと思いますが、
言葉の選び方には正解がひとつではないことがたくさんあります。
- 「繋がる」は見慣れたひらがな表記でも正しい
- 「継る」は古風だけど、物語や想いを表現するにはぴったり
- 「結ぶ」「連なる」「接続する」…似ているようで、それぞれに違う風味がある
だからこそ、重要なのは「知識」だけじゃなく、“自分の言葉感覚”を信じられるかどうかなんです。
書く、話す、読む──すべては“選ぶ”ことから始まる
ライター、ビジネスパーソン、文学を愛する学生。
立場は違っても、共通して大切なのは、
「どの言葉を選ぶか?」
という問いです。
それはただの言い換えではなく、“自分の価値観”を選ぶ行為でもあります。
・あえて「継る」で語ることで、重みを持たせる
・さらっと「繋がる」で流れを作る
・ひらがなで「つながる」と書くことでやさしさを伝える
──それぞれの選択に、あなた自身の考えやセンスが滲むのです。
違和感こそ、表現のチャンス
「なんか違う気がする」「しっくりこない」
それを“迷い”と捉えるのではなく、“磨きのチャンス”と捉えてみてください。
違和感に気づいたときこそ、あなたの日本語が進化する瞬間です。
むしろ、“わかるけど、説明できない”ような曖昧な領域にこそ、
言葉のセンスや表現の奥行きが宿ります。
最後に:日本語はあなたの表現道具、だからこそ遊んでいい
言葉はツールであり、素材であり、芸術でもあります。
日本語には、正しく使う楽しさも、間違えるおもしろさもある。
常用漢字の枠にとらわれず、文法の正しさに怯えすぎず、
“あ、この言葉、好きだな”と思えるかどうかを大切にしてください。
文章でも、会話でも、投稿でも──
しっくりくる言葉を選び、自分の感性を信じて使っていく。
それが、誰かの心に届く「伝わる言葉」になっていきます。
✨あなたの言葉は、すでに“誰かとつながってる”
そして、その言葉が次に誰かに継がれるかもしれない。
「繋がる」と「継る」──どちらも、きっとあなたの中に根づいていくはずです。
📘 ご愛読ありがとうございました!
もしこの記事が「おもしろかった」「ためになった」と感じたら、ぜひ誰かと“つながって”ください。
そして、その言葉が“継がれて”いくきっかけになれば、こんなに嬉しいことはありません。