「睦月」「如月」「弥生」——これらの美しい響きを持つ言葉は、日本の旧暦に基づいた和風月名と呼ばれるものです。
昔から日本人は、四季の移ろいや自然の恵みを月名に込めて大切にしてきました。現代では新暦が主流ですが、和風月名は行事や和菓子の名前、カレンダーなど、私たちの日常にひっそりと息づいています。
たとえば、7月の「文月」は七夕の短冊に願いを書くことに由来し、8月の「葉月」は秋の訪れを感じる月とされています。
和風月名を知ることで、季節の変化や日本文化の奥深さを感じられるはず。
この記事では、各月の和風月名の意味や由来、現代での使われ方まで詳しく解説します。
日本の美しい季節の名前をもっと身近に感じてみてください。
和風月名とは

和風月名(わふうげつめい)とは、日本の旧暦(太陰太陽暦)に基づいた各月の伝統的な呼び名のことです。
1月から12月までそれぞれに季節や自然の移ろいを表す名前が付けられています。
これらの月名は古くから和歌や文学、行事に使われ、日本人の季節感や風情を伝えてきました。
現代での使われ方
現代では新暦(太陽暦)が一般的ですが、和風月名は今でも年中行事やイベント名、商品名、名前などに幅広く使われています。たとえば、以下のような場面でよく見かけます。
- 和菓子や日本酒の商品名:季節感を表現するため、「文月」「弥生」などが商品名に使われることがある。
- 着物や浴衣の柄:「卯月」や「葉月」など、季節に合わせた和風月名をモチーフにしたデザインが多い。
- 名前や店名:和風な響きが好まれ、「睦月(むつき)」や「葉月(はづき)」などは人名や店舗名に使われることがある。
- 和歌や俳句:季節の風情や自然の情景を表現する際に、和風月名が詠み込まれることが多い。
和風月名の歴史

和風月名の歴史は、奈良時代や平安時代にまでさかのぼります。
日本ではもともと中国の暦法(太陰太陽暦)が導入され、それに日本独自の風習や自然観を取り入れて、和風月名が生まれました。
文化的背景
平安時代の貴族たちは、四季の移ろいを愛で、和歌や詩歌に和風月名を詠み込みました。
たとえば「卯月」に関する和歌として、紀貫之が『古今和歌集』で「卯月ばかりに咲く花の香を 風のたよりに たれか伝えむ」と詠んでいます。
また、農作業や神事、宮廷行事などとも密接に関わっており、旧暦に基づいた「月の名前」が日本人の暮らしに深く浸透していました。
旧暦と和風月名の関係

和風月名は旧暦(太陰太陽暦)に基づいているため、新暦(現在の太陽暦)とは1ヶ月ほどずれがあります。
たとえば、「睦月」は旧暦の1月を指しますが、これは現在の2月頃にあたります。
このずれは、太陽の動きを基準にしている新暦と、月の満ち欠けを基準にしている旧暦との違いによるものです。
現代に与える影響
- 行事の時期:例えば「七夕」は現在7月7日に行われますが、旧暦の7月7日は8月頃にあたります。そのため「本来の七夕」は現代の七夕と気候が異なることがあります。
- 俳句や和歌:旧暦に基づく和風月名が詠まれるため、和歌や俳句を読む際は旧暦と新暦のずれを理解することが重要です。
1月「睦月(むつき)」の由来

「睦月(むつき)」は、親族や家族が正月に集まり、仲睦まじく過ごすことから名付けられたとされています。
「睦(むつ)」という言葉には「仲良くする」「親しくする」という意味があります。また、新年を迎える行事や儀式が行われる月でもあるため、人との絆や結びつきを大切にする時期という意味も込められています。
正月の「おせち料理」や「初詣」などの習慣も、睦月における人々のつながりを象徴しています。
文化的背景・風習
- おせち料理
おせち料理は、五穀豊穣や家内安全を願って正月に食べる料理です。重箱に詰めることで「福を重ねる」という意味が込められています。たとえば、- 黒豆:健康や長寿を願う
- 数の子:子孫繁栄を願う
- 昆布巻き:「喜ぶ」に通じる縁起物
- 初詣
年が明けたら神社や寺に参拝し、新年の無事や家族の健康、商売繁盛を祈るのが「初詣」です。明治時代以降に鉄道が発達し、「恵方参り」という形で人気が広まりました。現在でも三が日(1月1日~3日)には多くの人が神社や寺に詣でます。 - 年賀状
年賀状を送り合う文化は、平安時代の「年始回り」が起源とされています。現代では電子メールやSNSでの挨拶が増えたものの、年賀状を通じて新年のあいさつを交わす風習は続いています。 - 鏡開き
1月11日には「鏡開き」が行われます。正月に供えた鏡餅を割って食べることで、無病息災や家庭円満を願います。割った餅をおしるこや雑煮にして食べるのが一般的です。 - 七草粥
1月7日には「人日の節句」に七草粥を食べる風習があります。これには、無病息災を願うと同時に、正月のご馳走で疲れた胃腸を休める意味もあります。
現代での使われ方
- 「睦月」の名前を使った商品名や店舗名
「睦月」は、和風の雰囲気や親しみやすさを表現するために、飲食店や旅館、和菓子の商品名などに使われることがあります。- 例:「睦月庵」「睦月(むつき)」という名の和菓子や日本酒
- レストランやカフェのメニュー名に「睦月御膳」などの形で取り入れられる
- 成人式の開催
1月の第二月曜日には「成人の日」があり、全国各地で成人式が行われます。新成人たちが振袖やスーツ姿で神社を訪れる様子は、和風月名「睦月」にふさわしい人と人のつながりを象徴する風景です。 - 結婚式や親族の集まり
「睦」という言葉が「和やかさ」「親しみ」を表すため、睦月は「家族の絆」を意識した結婚式や親族の集まりに適していると考えられています。1月に「睦月の宴」として親族で新年会を開くケースもあります。 - 和歌や俳句での使用
「睦月」は和歌や俳句でもよく詠まれます。例えば、松尾芭蕉の句に「睦月や門松そろう花の音」という作品があり、新年の賑わいや季節感を表現しています。 - 正月の特番やCM
「睦月」を使った言葉や表現が、正月のテレビ番組やCMでもよく使われています。「睦月スペシャル」「睦月のおもてなし」といったタイトルを目にすることも多く、和風の響きが日本の正月ムードを強調しています。
「睦月」は、人とのつながりや絆を大切にする日本文化の象徴です。家族が集まり、年始の挨拶や初詣、祝い事を通して絆を深める時期として、日本人の精神に根付いています。現代でも「睦月」の名は商品名や行事名に用いられ、和風の響きがもたらす安心感や親しみが広く受け入れられています。
2月「如月(きさらぎ)」の由来
「如月(きさらぎ)」は「衣更着(きさらぎ)」が語源とされています。
寒さが厳しいため、衣をさらに重ねて着ることから「衣更着」と呼ばれるようになったといわれています。
また、「生更ぎ(きさらぎ)」という説もあり、これは草木が新たに芽吹く時期であることから「更に生まれる」という意味があると考えられています。
実際に、梅の花が咲き始めるなど、春の兆しを感じる月でもあります。
文化的背景・風習
1. 節分(せつぶん)
如月の代表的な行事といえば節分です。節分は立春(2月4日頃)の前日に行われ、「鬼は外、福は内」と声をかけながら豆をまいて邪気を払う風習があります。この行事には「新しい春を迎えるために邪気を祓う」という意味があり、古くから宮中行事としても行われていました。
- 豆まき:福を呼び込むとされる大豆をまくことで、厄を払い、福を招くとされています。
- 恵方巻き:近年では恵方巻きを食べる風習も広まり、恵方を向いて無言で食べることで「福を逃さない」と言われています。
2. 針供養(はりくよう)
2月8日には、折れた針や使えなくなった針を供養する「針供養」が行われます。豆腐やこんにゃくに針を刺して供養し、裁縫の上達や安全を願います。この風習は、衣更着(きさらぎ)の「衣」に関連する行事として受け継がれてきました。
3. 梅の花と春の訪れ
如月は梅の花が咲き始める時期でもあります。平安時代には「春告草(はるつげぐさ)」と呼ばれ、春の訪れを告げる象徴とされていました。
- 和歌や俳句にも「梅」が詠まれることが多く、「如月」は早春の美しい景色を象徴しています。
- 例えば、菅原道真の「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな」という歌は有名です。
現代での使われ方
1. 節分イベント
現代でも2月3日前後には神社や寺院で節分祭が行われます。特に有名なものに、以下の行事があります。
- 成田山新勝寺(千葉県):力士や芸能人が参加し、豆まきが行われます。
- 京都・吉田神社:参拝者が集まり、福を招くための豆まきが盛大に行われます。
2. 「如月」という名前
「如月」は女性の名前や店名、商品名にも使われています。響きが柔らかく、和のイメージを連想させることから、以下のような場面でよく見かけます。
- 女性の名前:「如月(きさらぎ)」は古風で優雅な響きがあるため、女の子の名前に使われることが多い。
- 飲食店や和菓子:「如月」は和の雰囲気を感じさせるため、和風居酒屋や和菓子の商品名などに採用されることがある。
- アニメや小説の登場人物名:「如月」は和風でありながらミステリアスな印象を持つため、フィクション作品のキャラクター名にもしばしば使われる。
3. 和風の月名を使った商品やサービス
如月は「2月」に関連するイベントや商品に取り入れられることがあります。
- 「如月スイーツフェア」や「如月キャンペーン」など、季節限定のイベント名に採用される。
- 「如月の花」や「如月の湯」など、季節感を打ち出した商品やサービス名として使われることもある。
4. アートやデザインでの使用
如月のイメージである「梅の花」や「寒さに耐える春の訪れ」は、和柄やデザインに取り入れられることが多いです。
- 着物や浴衣、和小物に「梅」のデザインが施されることが多く、春の訪れを表現しています。
- 2月のカレンダーや壁紙には「如月」の名とともに梅の花や雪解けのイメージがよく使われます。
「如月(きさらぎ)」は、寒さが厳しい時期に衣を重ねて暖かく過ごすことや、春の訪れを迎える準備の時期を象徴する月名です。
節分や針供養といった伝統行事や、梅の花が咲き始める情景が、人々に春の兆しを感じさせます。現代でも「如月」は行事名や商品名、名前などに広く使われており、和のイメージや季節感を表現する言葉として親しまれています。
それでは「弥生(やよい)」について、文化的背景・風習や現代での使われ方を詳しく追加していきますね!
3月「弥生(やよい)」の由来

「弥生(やよい)」は「弥(いや)」が「いよいよ」「ますます」という意味を持ち、「生(おい)」が「草木が生い茂る」という意味を持つことから、草木が芽吹き、成長が本格的に始まる時期を表しています。
春の訪れを感じさせる月であり、桜や桃の花が咲く様子が「弥生」の名にふさわしいとされています。ひな祭り(桃の節句)などの行事もあり、春の喜びを祝う月です。
文化的背景・風習
1. ひな祭り(桃の節句)
弥生の代表的な行事といえば**ひな祭り(桃の節句)**です。ひな祭りは旧暦の3月3日に行われ、女の子の健やかな成長や幸せを願う行事です。
- ひな人形:平安時代の貴族文化から発展したひな人形を飾り、女の子が将来幸せな結婚生活を送れるように願います。
- 白酒やちらし寿司:ひな祭りには白酒(しろざけ)やちらし寿司、菱餅(ひしもち)、ひなあられなどが振る舞われ、春の訪れを祝います。
- 流し雛(ながしびな):紙で作ったひな人形を川に流し、厄払いをする風習も残っています。
ひな祭りに「桃の花」が飾られるのは、桃が邪気を払う力を持つとされているためです。「桃」は中国でも魔除けや長寿の象徴とされており、日本でもひな祭りと結びついています。
2. お水取り(修二会)
奈良・東大寺で行われるお水取り(修二会)は弥生を象徴する行事の一つです。毎年3月1日から14日まで行われ、春の訪れを告げる儀式とされています。
- お松明(おたいまつ):僧侶が松明を持って大きく振り回しながら舞台を歩きます。火の粉が体にかかると無病息災の御利益があると言われています。
- 若狭井(わかさい)の水:3月12日の夜、若狭井から「お香水(おこうすい)」をくみ上げて供える儀式が行われます。この水には浄化の力があるとされています。
お水取りが終わると「春が来た」と言われ、弥生が「春を迎える月」であることを実感させます。
3. 桜と弥生の関係
弥生の頃になると桜が咲き始め、日本全国で花見が行われます。
- 平安時代から貴族の間で桜を愛でる文化が広がり、和歌にも「桜」は頻繁に詠まれるようになりました。
- 江戸時代には庶民にも花見文化が広まり、現在では「お花見」は春の定番イベントとなっています。
《桜を詠んだ有名な和歌》
「ひさかたの 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ」(紀友則)
→ 静かな春の日に桜が散る様子を詠んだ、情景豊かな和歌です。
現代での使われ方
1. 「弥生」という名前
「弥生」は現代でも女性の名前や店名、商品名として人気があります。
- 女性の名前:「弥生(やよい)」は古風で美しい響きがあり、春らしい印象を与えることから女の子の名前に人気があります。
- 企業やブランド名:「弥生株式会社」などの企業名や、「弥生の花」「弥生菓子」などの商品名にも使用されています。
- アニメ・小説・ゲームのキャラクター名:和風で優雅なイメージがあるため、登場人物名に使われることも多いです。
2. ひな祭りの現代での展開
ひな祭りは現代でも広く行われており、家庭での飾り付けやひなあられを食べる文化は根強く残っています。また、以下のような現代風の展開もあります。
- ホテルのひな祭りイベント:ひな人形や特別な和菓子を用いたアフタヌーンティーや特別メニューを提供するホテルが増えています。
- キャラクターひな人形:ディズニーやサンリオなど、キャラクターのひな人形が登場しており、親しみやすくなっています。
- 国際的な広がり:日本文化の一環として、海外の日本コミュニティでもひな祭りイベントが開催されることがあります。
3. 花見と観光
現代でも弥生の時期になると「桜の名所」には多くの観光客が訪れます。
- 上野公園(東京都)や吉野山(奈良県)などの名所では、花見シーズンにイベントが開催され、屋台やライトアップなどで賑わいます。
- 夜桜を楽しむ「夜桜ライトアップ」も人気で、春の夜の風情を楽しむイベントが各地で行われています。
4. 3月を象徴する商品やサービス名
「弥生」は春を象徴する名前として、商品やサービス名にも採用されています。
- 和菓子やスイーツ:「弥生桜」「弥生餅」など、桜や春を連想させる商品が登場。
- 着物やファッション:「弥生の花」をモチーフにした春向けの和柄やデザインが人気。
- 弥生キャンペーン:「春の弥生キャンペーン」として、新生活応援イベントや特別セールが開催されることもある。
「弥生(やよい)」は、草木が芽吹き、自然が本格的に目覚める春の到来を象徴する月名です。ひな祭りやお水取り、花見といった春を祝う行事や風習が根付いており、現代でも名前や商品名、イベント名に幅広く活用されています。日本人にとって「弥生」は、春の訪れを実感する月として親しまれていることがわかります。
4月「卯月(うづき)」の由来
「卯月(うづき)」は、**卯の花(うのはな)が咲く時期であることから名付けられたとされています。卯の花はウツギ(空木)**の花を指し、白く可憐な花が4月頃に咲きます。また「卯」という文字には「始まり」や「繁栄」という意味もあり、新しい命が芽吹く春の象徴ともされています。現代でも、4月は入学や入社など新生活が始まる時期であるため、「卯月」は日本人にとってスタートの月として特別な意味を持っています。
文化的背景・風習
1. 卯の花と民謡・伝承
「卯の花」は古くから和歌や俳句、民謡に詠まれてきました。卯の花は「夏の訪れ」を象徴するとされ、4月から5月にかけて咲き始めることから、日本の季節の移り変わりを告げる花として親しまれてきました。
- 「卯の花の匂う垣根に…」
有名な日本の童謡「夏は来ぬ」には、「卯の花」が登場します。この歌は、卯の花が咲き始める4月頃から夏への移り変わりを表現したものです。
♪ 卯の花の匂う垣根に ホトトギス早も来鳴きて…
- 卯の花腐し(うのはなくたし)
4月下旬から5月初旬に降る長雨を「卯の花腐し」と言います。これは、卯の花が咲く時期に降る雨が花を傷めることに由来しています。
2. 清明(せいめい)
卯月には二十四節気の「清明(せいめい)」があります。清明は「すべてのものが生き生きとし、清らかになる時期」という意味で、春本番を迎える節気とされています。
- 清明祭:沖縄では清明(シーミー)に「清明祭(シーミー)」が行われます。これは祖先の墓を掃除して供え物をし、一族が集まって食事をする行事です。
- 春祭り:全国の神社でも春の豊作や無病息災を願う「春祭り」が行われます。特に有名なものには、京都・伏見稲荷大社の「稲荷祭」や、奈良・春日大社の「春日祭」などがあります。
3. イースター(復活祭)
西洋の行事である**イースター(復活祭)**も4月に行われることが多く、日本でも近年は馴染みのあるイベントとなっています。イースターでは卵やウサギ(卯)を象徴として用いますが、「卯(う)」と「卵(う)」の関連からも、春の訪れや新たな命の誕生というテーマが共通しています。
- 卵:生命の誕生を象徴
- ウサギ:多産の象徴(繁栄や豊穣を意味する)
「卯」の意味とイースターの象徴が重なることで、日本でもイースターと卯月の関連性が感じられるようになっています。
4. 入学・新生活の始まり
4月は日本において「年度の始まり」であり、入学や入社など新生活が始まる特別な月です。このため、「卯(はじまり)」が象徴する新しいスタートと結びつきます。
- 入学式・入社式:桜が咲き誇る中で新しいスタートを迎えることから、桜と卯月の結びつきが強くなっています。
- お花見:4月は桜の満開の時期と重なるため、家族や友人と花見をしながら新しい門出を祝う風習が根付いています。
現代での使われ方
1. 「卯月」という名前
「卯月」は和の雰囲気がある美しい響きであるため、名前や商品名、ブランド名として人気があります。
- 女性の名前:「卯月(うづき)」という名前は柔らかく、春の訪れや新たなスタートを連想させるため、女の子の名前として好まれます。
- アニメ・ゲームのキャラクター名:「卯月」はキャラクター名としてもよく使用され、特に「艦これ」の「卯月」や「アイドルマスター」の「卯月」など、可憐で明るい印象を与える名前として人気があります。
2. 卯月に関連した商品やサービス
- 和菓子:「卯月餅」や「卯月最中」など、春の訪れを感じさせる商品名として使われています。
- カフェや居酒屋:「卯月」は和モダンな印象があるため、和テイストの飲食店名としても人気があります。
- 春のイベント:「卯月祭り」や「卯月市」など、4月を象徴するイベント名に「卯月」が使用されることがあります。
3. 春ファッション・デザイン
卯月にちなむデザインやモチーフは、春の和装やファッションにも取り入れられています。
- 卯の花柄:卯の花をモチーフにした浴衣や着物が販売され、春らしい爽やかなイメージを与えています。
- イースター関連グッズ:イースターが日本にも浸透し、卯を象徴するウサギモチーフの商品や卵型のチョコレートなどが4月に多く販売されています。
「卯月(うづき)」は、卯の花が咲き始める時期に由来し、春の訪れと新たな始まりを象徴しています。古くから「卯」は繁栄や始まりの象徴とされ、和歌や行事にも深く結びついてきました。現代でも「卯月」は入学や新生活のスタートを象徴する月として特別な意味を持ち、名前や商品名、イベント名などに幅広く使われています。「卯月」が持つ「始まり」や「繁栄」のイメージは、今後も日本文化に根付き続けるでしょう。
5月「皐月(さつき)」の由来
「皐月(さつき)」は、**早苗(さなえ)**を植える時期であることから「早苗月(さなえづき)」が転じて「皐月」になったと言われています。「皐」という漢字には「神に捧げる稲」という意味があり、田植えが始まる重要な時期を指します。また、5月は端午の節句(こどもの日)があり、鯉のぼりや菖蒲湯など、日本独自の風習が受け継がれています。
文化的背景・風習
1. 田植えと早苗(さなえ)
5月は古来より農業において重要な月とされてきました。「皐月」は田植えが始まる時期を象徴しており、稲作が日本文化や神事と密接に結びついていることを示しています。
- 早苗とは?
「早苗」とは、苗代(なわしろ)で育てた稲の苗を指し、田植えを行う際に植える若い苗のことを言います。 - 早乙女(さおとめ)の田植え
田植えは「早乙女(さおとめ)」と呼ばれる若い女性たちが苗を植える儀式として行われてきました。平安時代の『源氏物語』にも早乙女の姿が描かれており、田植えが神聖な行為であることがわかります。 - 御田植祭(おたうえまつり)
伊勢神宮(三重県)や住吉大社(大阪府)では「御田植祭」が行われます。- 白装束に身を包んだ早乙女が、神に豊作を祈りながら田植えを行います。
- 田植えの儀式に合わせて神楽が奏でられ、豊作祈願の舞が披露されることもあります。
2. 端午の節句(こどもの日)
皐月の行事として最もよく知られているのが、**端午の節句(5月5日)**です。これは元々「菖蒲(しょうぶ)の節句」と呼ばれており、厄払いと男児の健康と成長を願う行事でした。
- 鯉のぼり
鯉は「流れに逆らって滝を登り、龍になる」という中国の故事に由来し、立身出世や成功を象徴しています。
→ 現代でも家庭の庭やベランダに鯉のぼりを掲げ、子どもの成長と成功を願います。 - 兜飾り・武者人形
武士の精神を受け継ぐ象徴として、兜や武者人形が飾られます。これは「身を守る」という意味合いがあります。 - 菖蒲湯(しょうぶゆ)
5月5日には、厄払いのために菖蒲を浮かべた風呂に入る風習があります。 - 菖蒲には薬効があるとされ、邪気を払うと考えられていました。
- 「菖蒲」が「勝負」や「尚武(しょうぶ)」に通じることから、武士の家庭でも重視されていました。
- 柏餅(かしわもち)
柏の葉は「新しい芽が育つまで古い葉が落ちない」ことから、「家系が絶えない」「子孫繁栄」の象徴とされています。
3. さつき晴れ
5月に見られる澄み渡るような青空を「さつき晴れ」と呼びます。この「さつき晴れ」は和歌や俳句にもよく詠まれており、日本特有の美しい季節感を表現しています。
《例:俳句》
「さつき晴れ 空に舞い立つ 鯉のぼり」
- 現代でも「さつき晴れ」は天気予報で使われることがあり、晴れ渡った5月の爽やかな空を象徴しています。
現代での使われ方
1. 「皐月」という名前
「皐月」は現代でも女性の名前や商品名、イベント名などに広く使われています。
- 女性の名前:「皐月(さつき)」は「さわやか」「清らか」「強さ」を連想させる響きから、女の子の名前として人気があります。
- キャラクター名:「さつき」はアニメやゲームのキャラクター名にもよく使われ、爽やかで活発なイメージを与えます。
- 『となりのトトロ』の「草壁サツキ」
- 『艦これ』の駆逐艦「皐月」
2. 端午の節句関連商品
5月になると、端午の節句に関連した商品やイベントが盛んに行われます。
- 鯉のぼり型のお菓子:和菓子やケーキに鯉のぼりの形を模した商品が登場。
- こいのぼり祭り:各地で鯉のぼりを川や広場に飾るイベントが開催され、地域活性化にも貢献。
- 菖蒲湯の入浴剤:5月限定で「菖蒲湯の素」が販売されるなど、現代風にアレンジされた商品も人気。
3. 「皐月」のイメージを活用した商品名・サービス名
「皐月」は5月らしい爽やかさや清らかさをイメージさせるため、ブランド名や商品名に用いられることがあります。
- 皐月(さつき)旅館:和風の落ち着いた雰囲気を持つ旅館名。
- 皐月ビール:5月限定の爽やかな香りを持つクラフトビール。
- 皐月祭:5月に開催されるイベント名に使われることも多い。
「皐月(さつき)」は、田植えが始まり、自然の恵みを感じる重要な月名です。農作業と密接に関わる田植えや、子どもの健やかな成長を願う端午の節句など、日本独自の文化や風習が今も受け継がれています。現代でも「皐月」は季節の象徴として使われるだけでなく、名前や商品名、イベント名などに広く採用されており、日本人にとって特別な意味を持つ月であることがわかります。
6月「水無月(みなづき)」の由来

「水無月(みなづき)」は、「水が無い月」という意味に見えますが、実際には「無」は「の」を表す助詞であり、「水の月」という意味になります。田んぼに水を引く時期であることから「水の月」と呼ばれるようになったとされています。また、この時期は**梅雨(つゆ)の最中にあたり、田植えや農作業が盛んに行われる月でもあります。京都では6月30日に「夏越の祓(なごしのはらえ)」**が行われ、半年間の穢れを払う伝統行事が今も受け継がれています。
文化的背景・風習
1. 田植えと水の関係
水無月の「水」は、田植えに欠かせない重要な要素を指しています。稲作は日本の農業文化の基盤であり、6月は田に水を張って稲を植える大切な時期です。
- 「水無月」が「水の月」を意味する理由
→ 田んぼに水を張ることで稲の成長を助けるため、「水の月」と呼ばれるようになったと考えられています。 - 「田植え祭」や「御田植祭」
→ 全国の神社で豊作を祈願するために「田植え祭」や「御田植祭(おたうえまつり)」が行われます。
- 伊勢神宮(三重県)の「御田植祭」では、早乙女(さおとめ)と呼ばれる女性が白装束に身を包み、伝統的な田植え儀式が行われます。
- 大阪の住吉大社でも「御田植神事」が行われ、田植えの儀式が重要な神事として伝えられています。
2. 夏越の祓(なごしのはらえ)
6月30日に全国の神社で行われる「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、水無月に行われる重要な伝統行事です。これは半年間の穢れを払い、無病息災を祈願する神事です。
- 茅の輪くぐり(ちのわくぐり)
→ 神社の境内に設置された「茅の輪(ちのわ)」を「左回り・右回り・左回り」と3回くぐることで、心身の穢れを払い清めるとされています。
→ 「水」と「禊(みそぎ)」の文化が関連しており、水を使った浄化の意味が込められています。 - 「水無月」という和菓子
→ 夏越の祓の日には「水無月」という名前の和菓子を食べる習慣があります。
- 「水無月」は白い外郎(ういろう)に小豆をのせた三角形の和菓子です。
- 小豆には邪気を払う力があるとされ、三角形は「氷」を表しており、暑気払いの意味が込められています。 - 和歌・俳句における「夏越の祓」
→ 「水無月の 夏越の祓 する人は 千年(ちとせ)の命 のぶというなり」(拾遺和歌集)
→ 夏越の祓が長寿や健康をもたらすと信じられていたことがわかります。
3. 梅雨(つゆ)と「水無月」
6月は日本列島が梅雨に覆われる時期であり、雨の多い時期です。「水の月」と呼ばれるのは、まさにこの梅雨の時期と関連しています。
- 梅雨(つゆ)の語源
→ 「露(つゆ)」や「潰(ついゆ)」が語源とされており、湿気や雨に関連した言葉です。
→ 長雨が続くことで作物の成長を促す一方、湿気によるカビや害虫の被害も懸念されます。 - 田植えとの関係
→ 梅雨の雨が田に水を供給し、稲作にとっては恵みの雨となります。
→ 一方で、大雨による洪水や土砂災害などのリスクもあるため、自然との共生が重要になります。
現代での使われ方
1. 「水無月」という名前
「水無月」という名前は日本らしい響きと季節感を表すため、商品名やイベント名、キャラクター名などに広く使われています。
- 和菓子「水無月」
→ 夏越の祓に関連する和菓子として「水無月」が全国の和菓子店で販売されています。
→ 京都の和菓子店では、6月限定で「水無月」を扱う店舗も多くあります。 - 女性やキャラクター名
→「水無月(みなづき)」は柔らかく響きが良いため、名前やキャラクター名に採用されています。
- アニメ『BLEACH』の「水無月(みなづき)」
- アイドルグループの「水無月さつき」
2. 夏越の祓関連イベント
現代でも6月30日には全国の神社で「夏越の祓」が行われており、参加者が茅の輪をくぐることで無病息災を願います。
- 京都の下鴨神社・貴船神社:観光客にも人気があり、毎年多くの人が参加します。
- 夏越の祓グッズ:茅の輪を模したストラップや、祓いの塩、和菓子「水無月」などが限定商品として販売されます。
3. 梅雨関連の商品・イベント
- 傘やレインコート:6月は梅雨対策の商品が多く販売され、「水無月セール」などのキャンペーンが行われます。
- アジサイ祭り:アジサイが見頃を迎えるため、鎌倉・明月院や京都・三室戸寺では「アジサイ祭り」が開催されます。
「水無月(みなづき)」は、田植えと稲作に欠かせない「水」が豊富になる月であり、日本の農業文化や自然との関わりを象徴する月名です。夏越の祓や梅雨など、この時期に行われる伝統行事や自然現象が「水無月」という呼び名に込められています。現代でも「水無月」は和菓子や名前、商品名などに使われており、季節感や日本の風情を感じさせる言葉として親しまれています。
7月「文月(ふみづき)」の由来
「文月(ふみづき)」は、稲が穂を含む(実る)時期であることから「穂含み月(ほふみづき)」が転じて「文月」になったと言われています。また、7月7日の**七夕(たなばた)**に短冊に願い事を書いて笹に飾る習慣があることから、「文(ふみ)」を読み書きする月という意味も込められています。平安時代には宮廷で七夕の行事が盛んに行われ、恋愛や詩歌を詠む文化が発展しました。
文化的背景・風習
1. 七夕(たなばた)
文月の代表的な行事が**七夕(しちせき)**です。七夕は中国から伝わった「乞巧奠(きこうでん)」という行事が日本に定着したものです。
- 織姫と彦星の伝説
→ 天の川を隔てて離れ離れとなった織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が、年に一度7月7日の夜にだけ会うことが許されるという伝説に由来しています。
→ この伝説が「愛情」や「再会」の象徴となり、恋愛成就を願う行事として親しまれるようになりました。 - 短冊に願いを書く
→ 平安時代には、宮中の女性たちが梶の葉に歌を書き、技芸の上達を願ったことが由来とされています。
→ 江戸時代になると庶民にも広まり、現在では短冊に「願い事」を書いて笹に飾る習慣になっています。 - 七夕飾り
→ 仙台の「七夕祭り」や平塚の「湘南ひらつか七夕まつり」など、全国で七夕関連の祭りが行われています。
→ 色とりどりの吹き流しや、星を模した飾りが商店街や会場を華やかに彩ります。 - 七夕料理
→ 七夕には素麺(そうめん)を食べる習慣があります。
→ そうめんを「天の川」に見立てたり、無病息災を願ったりする意味があります。
2. 文に関する風習
「文月」の「文」は「書く」「読む」という意味を持つことから、書道や詩歌に関する風習が多く見られます。
- 書道や和歌の会
→ 平安時代の宮中では七夕に和歌を詠む会が開かれていました。
→ 梶の葉に和歌を書く風習は「短冊」に受け継がれたとされています。 - 詩歌や恋文
→ 七夕の日に恋文を交わす風習が平安時代に広まりました。
→ 「源氏物語」や「枕草子」などにも七夕に関する場面が登場しています。
《例:百人一首》
「秋風に たなびく雲の たえ間より もれ出づる月の 影のさやけさ」(左京大夫顕輔)
この歌は、七夕の夜に天の川を眺めながら織姫と彦星の再会を願う情景を詠んだものとされています。
3. 穂含み月(ほふみづき)
「文月」の別名である「穂含み月」は、稲が実り始める時期に由来しています。
- 田植え後の生育期
→ 田植えが終わった稲が、7月に入ると穂をつけ始めることから「穂含み月」と呼ばれました。
→ 農村では、稲の生育を祈る神事や豊作祈願の祭りが行われることが多くありました。 - 虫送り
→ 田んぼの害虫を追い払うために「虫送り」という行事が行われていました。
→ たいまつを持って田を回ることで害虫を追い払い、稲の無事な成長を願いました。
現代での使われ方
1. 「文月」という名前
「文月(ふみづき)」は日本らしい響きがあり、名前や商品名、イベント名などに幅広く使われています。
- 女性の名前:「文月(ふみづき)」は和風で柔らかく、美しい響きがあるため、女性の名前として人気があります。
- キャラクター名:「文月」はアニメやゲームのキャラクター名としてもよく使われます。
- 例:『艦これ』の駆逐艦「文月」
- 例:『BLEACH』の登場人物「文月」
2. 七夕関連イベント
七夕は現代でも広く親しまれており、全国各地で七夕祭りや関連イベントが開催されています。
- 仙台七夕まつり(宮城県)
→ 東北三大祭りのひとつで、全国から観光客が集まる大規模な祭り。 - 平塚の湘南ひらつか七夕まつり(神奈川県)
→ 鮮やかな吹き流しや屋台が立ち並び、毎年大勢の人でにぎわいます。
3. 「文月」にちなんだ商品やサービス
「文月」は和風な響きがあるため、商品名やサービス名に使われることがあります。
- 和菓子:「文月最中」「文月饅頭」などの名前がついた和菓子。
- 居酒屋・カフェ:「文月」という名前のカフェや居酒屋も存在し、和モダンな雰囲気が演出されている。
- 書道関連商品:筆や墨などの書道用品に「文月」の名を冠した商品がある。
「文月(ふみづき)」は、稲の実り始める時期であることに由来し、七夕の行事や和歌・書道文化とも深く結びついています。七夕に短冊に願いを書く習慣や、稲作に関連する風習は、今も受け継がれています。現代では「文月」は女性の名前や商品名、イベント名などに使われ、和の情緒や季節感を感じさせる言葉として広く親しまれています。
8月「葉月(はづき)」の由来
「葉月(はづき)」は、木々の葉が落ち始める月であることから「葉落ち月(はおちづき)」が転じて「葉月」になったと言われています。ただし、実際には旧暦の8月は現在の9月にあたり、秋の訪れを感じる時期です。また、「初月(はつき)」が語源という説もあり、新しい収穫の始まりを意味しているとも考えられています。
文化的背景・風習
1. 立秋(りっしゅう)
旧暦の8月には**立秋(りっしゅう)があります。立秋は二十四節気の一つで、「秋が始まる日」**を指します。
- 立秋は8月7日頃にあたり、暦の上ではここから秋に入るとされています。
- 立秋を過ぎると、朝晩に涼しさが感じられるようになりますが、実際には猛暑が続くことも多いため、「残暑(ざんしょ)」という言葉が使われます。
《例:俳句》
「立秋や 風のかすかに 朝涼し」
- 立秋を過ぎてからの暑さを「残暑」として表現し、「残暑見舞い」を出す風習もあります。
2. 収穫と稲刈り
葉月には収穫に関する風習や神事が多く行われます。
- 新嘗祭(にいなめさい)
→ 収穫の神事で、稲や穀物が実ることに感謝を捧げる行事。
→ 宮中では天皇自らが新穀を神に捧げ、豊作への感謝を示します。 - 八朔(はっさく)(8月1日頃)
→ 旧暦8月1日を「八朔(はっさく)」と呼び、豊作を祈願する行事が行われます。
→ 「朔」は「月の始まり」を意味し、「八朔」は「8月の初めの日」という意味です。
→ 武家社会では、主君への忠誠を誓う「八朔の儀」も行われていました。 - 十五夜(中秋の名月)
→ 旧暦の8月15日は「中秋の名月」として月を愛でる行事が行われます。
→ 月見団子やススキを供え、収穫への感謝と来年の豊作を願います。
→ 平安時代から貴族の間で月見が盛んに行われ、和歌や詩歌にも「月」が多く詠まれました。
《例:和歌》
「秋風に たなびく雲の たえ間より もれ出づる月の 影のさやけさ」(藤原定家)
- 現代でも「お月見イベント」として広く親しまれています。
3. お盆(盂蘭盆会/うらぼんえ)
葉月にはお盆が行われ、日本全国で祖先を供養する風習があります。
- 迎え火・送り火
→ 8月13日に「迎え火」を焚いて祖霊を迎え、8月16日に「送り火」で送り出します。
→ 京都の五山の送り火(大文字焼き)は、お盆の代表的な行事。 - 精霊流し
→ 長崎県をはじめとする地域で行われ、灯籠に火を灯して川に流し、祖霊を送ります。 - 踊り(盆踊り)
→ 祖先の霊を供養するために「盆踊り」が行われます。
→ 地域によっては「やぐら」を組んで太鼓を打ちながら踊るのが特徴です。
4. 風習や言い伝え
- 「葉月」と葉の関係
→ 葉が落ち始めるという意味の「葉月」は、日本の自然や季節の移ろいを象徴しています。
→ 木々の葉が色づき始める様子や、紅葉の兆しが見え始める月とされています。 - 「初月(はつき)」説
→ 「初月」は新しい収穫の始まりを意味するため、農耕文化と関連しています。
→ 「新しい始まり」という意味から、縁起の良い月とも考えられていました。
現代での使われ方
1. 「葉月」という名前
「葉月(はづき)」は響きが柔らかく、美しい和の雰囲気を持つため、名前や商品名、ブランド名などに幅広く使われています。
- 女性の名前:「葉月」は「美しい」「落ち着き」「和の風情」を感じさせるため、女性の名前に人気があります。
- 例:女優の「葉月里緒奈」
- 例:アニメ『ARIA』の「葉月」 - キャラクター名:「葉月」はアニメやゲームでも人気の名前。
- 『BLEACH』の「葉月」
- 『艦これ』の駆逐艦「葉月」
2. お盆や月見関連イベント
現代でも8月になるとお盆や月見のイベントが各地で開催されます。
- 京都・五山の送り火:毎年8月16日に行われる送り火の行事は全国的に有名。
- 中秋の名月:観月会や月見イベントが開催され、和菓子店や飲食店でも「月見団子」が提供されます。
3. 商品名・ブランド名
「葉月」は「落ち着き」「和風」「自然」といったイメージから、商品名やブランド名に使われることがあります。
- 和菓子:「葉月最中」「葉月饅頭」など
- 飲食店:「葉月庵」「葉月カフェ」など
- アパレル・雑貨:「葉月コレクション」など
「葉月(はづき)」は、木々の葉が落ち始めることや収穫の始まりを意味する月名です。立秋やお盆、中秋の名月など、自然や季節に関する行事や風習と深く結びついています。現代でも「葉月」は和の情緒や落ち着いた雰囲気を感じさせる名前として親しまれており、商品名やイベント名、キャラクター名などに幅広く使われています。
9月「長月(ながつき)」の由来

「長月(ながつき)」は「夜長月(よながづき)」が語源で、夜が長くなる時期を意味しています。旧暦の9月は現在の10月頃にあたり、日が沈む時間が早まり、夜の時間が徐々に長くなっていく時期です。このため、「秋の夜長」を楽しむ文化がこの頃から生まれました。
文化的背景・風習
- 中秋の名月(十五夜):旧暦の8月15日(現在の9月中旬〜下旬頃)には「十五夜」と呼ばれる行事があり、満月を眺めて月見団子やススキを供える風習があります。この名月を鑑賞する「お月見」は、秋の風物詩として現代にも受け継がれています。
- 虫の音:秋の夜長には、鈴虫やコオロギの鳴き声が聞こえ、和歌や俳句にも「虫の音」がよく詠まれています。例えば、「秋の夜長に鈴虫の音を聞きながら月を眺める」という風情は、日本独自の美意識と言えるでしょう。
- 長月の和歌:平安時代の和歌にも「長月」が詠まれており、秋の夜長の情景や寂しさが表現されています。藤原定家の歌に「秋の夜は長きものからしぐるるに 袖をしぼるもたへぬ頃かな」といったものがあります。
現代での使われ方
「長月」は現代でも、秋の夜長を楽しむイベントや文学作品に使われています。例えば、9月に開催される「観月会(かんげつかい)」や「長月夜会」などは、和風月名を意識したイベント名です。また、「長月」という名前の日本酒や和菓子などもあり、秋の趣を感じさせるブランド名として親しまれています。
10月「神無月(かんなづき)」の由来
「神無月(かんなづき)」は「神がいない月」という意味です。この由来は、全国の神々が出雲大社に集まるとされているためと考えられています。ただし、出雲地方では「神在月(かみありづき)」と呼ばれています。
文化的背景・風習
- 神在祭(かみありさい):出雲大社では10月に「神在祭(かみありさい)」が行われ、全国から集まった神々が「縁結び」や「来年の天候・収穫」について会議を行うと伝えられています。このため、出雲では「神無月」ではなく「神在月」となっています。
- 亥の子祭り:旧暦の10月に行われる「亥の子祭り」は、イノシシにちなんだ豊作祈願の行事で、子どもたちが「亥の子餅」をついて無病息災を願う風習があります。
- 新嘗祭(にいなめさい):秋の収穫を祝う新嘗祭は旧暦の10月末から11月初めに行われていました。宮中や神社で新穀を神に供える行事であり、日本古来の農耕文化に基づく伝統が息づいています。
現代での使われ方
- 「神無月」は神社の祭事やイベント名に使われることが多く、「神無月まつり」や「神在祭」などが全国で行われています。
- 出雲大社関連の神在月にちなんだ縁結びグッズや、出雲の銘菓「神在餅(かみありもち)」などの商品名に使われることもあります。
- また、10月に婚礼や縁結びイベントが集中するのも、「神在月」による影響とされています。
11月「霜月(しもつき)」の由来
「霜月(しもつき)」は「霜が降りる月」という意味で、朝晩の冷え込みが強まり、初霜が降り始める時期にあたります。旧暦の11月は現在の12月頃にあたり、晩秋から初冬への移り変わりを感じる季節です。
文化的背景・風習
- 新嘗祭(にいなめさい):11月23日には新嘗祭が行われ、新穀を神に供え、豊作に感謝する行事が宮中や各地の神社で行われます。
- 紅葉狩り:11月は紅葉が最も美しい時期で、「紅葉狩り」が盛んに行われます。紅葉に関する和歌や俳句も多く詠まれています。
- 冬支度:霜が降り始めるため、冬支度を始める時期でもあります。冬囲いや薪割りなど、寒さに備える準備が行われます。
現代での使われ方
- 「霜月」は晩秋をイメージした日本酒や和菓子の商品名に使われることがあります。
- 「霜月」という名前のカフェや旅館も存在し、落ち着いた秋の情緒を表現するブランド名として人気です。
12月「師走(しわす)」の由来
「師走(しわす)」は「師(僧侶)が忙しく走り回る月」という意味です。年末には法要や年越しの準備が重なり、僧侶だけでなく一般の人々も忙しくなる時期を表しています。
文化的背景・風習
- 大掃除:12月には「すす払い」と呼ばれる大掃除を行い、神様を迎える準備をします。
- 年越しそば:大晦日に年越しそばを食べる習慣も「師走」に由来しています。
- 除夜の鐘:12月31日の夜には、全国の寺院で「除夜の鐘」が108回つかれ、人々が新年を迎える準備をします。
現代での使われ方
- 「師走」の名を冠したイベントや商品名もあり、「師走の市」や「年越しライブ」などに見られます。
- 年末商戦や年賀状の準備など、現代の忙しさも「師走」の文化として定着しています。
和風月名は単なる月の呼び名ではなく、日本人が自然や四季とともに暮らしてきた歴史や文化が反映されています。現代でも和風月名は行事や名前、商品名などに使われており、過去から未来へと受け継がれています。
和風月名が現代に与える影響(ポイント)
- 季節感や自然とのつながりを感じられる
- 行事やイベント名、商品名などに多く使われている
- 和風月名を取り入れることで、日本文化や伝統への理解が深まる
まとめ

和風月名は、日本の旧暦に基づいた12ヶ月それぞれの呼び名で、自然や季節の移ろいを美しく表現しています。1月の「睦月」から12月の「師走」まで、月名には農作業や年中行事、宮中行事など、日本人の暮らしや文化に深く根ざした意味が込められています。また、現代でも和風月名は行事名や商品名、名前などに広く用いられており、私たちの日常生活に息づいています。
和風月名を知ることで、日本の四季や文化をより深く感じることができるでしょう。例えば、月名を意識して季節の行事を楽しんだり、和風月名を取り入れたネーミングやインテリアを取り入れてみるのもおすすめです。
次に取るべき行動
- 和風月名の意味を家族や友人にシェアしてみる
- 季節の行事(七夕・お月見・お盆など)を和風月名と一緒に楽しむ
- 自分や子どもの名前、ペットの名前に和風月名を参考にする
👉 和風月名を日常に取り入れて、日本の季節の美しさをもっと楽しんでみませんか? 🌸